まんすりいコラム

特集〈シネマ・カーテンコール2018〉、今年の特徴

2018/11/24 — 第357号

年末恒例の外国映画特集〈シネマ・カーテンコール〉を開催します。今年日本公開された話題作の中から、まだ当館で上映していない作品を取り上げています。それぞれの番組にはテーマを設けていますが、本紙にはスペースの都合で掲載できませんでした。特集チラシには記載がありますのでご参考にしていただければ幸いです。■今回の上映作品は、『英国総督 最後の家』『はじめてのおもてなし』『希望のかなた』『ウインド・リバー』『女は二度決断する』など多くの作品で、移民、難民、もしくは国内でも故郷を離れざるを得なかった人々が描かれています。番組編成の際には特に意識せず、単に良質な作品を求めていたので後から驚きました。もちろん移民・難民問題は昔からあります。しかし、毎年この特集を企画していますが、ここまで反映された年はなかったと思います。■映画は世相を反映します。「移民・難民」という言葉にすると、島国の日本で暮らしているとあまり現実感がないかもしれません。しかし増える外国人労働者の処遇問題が報道され、池袋界隈の外国人観光客も増え、私たちも日常生活の中で文化や価値感の異なる外国の方と接することは増えました。■先にあげた作品中『はじめてのおもてなし』には、受け入れに困惑しながらも「外国人」ではなく「人」として接する心の機微が描かれています。

— 花俟良王


途中入場のルール改変などについて

2018/09/27 — 第355号

新文芸坐では、映画が始まって30分過ぎると映画の途中入場をお断りしております。これを11月からは、15分過ぎたら入場できない、というルールに改めさせていただく方向で検討をしております。

わたしは、過去に途中入場したお客様が転んで出血し、病院にお連れした経験があります。つい最近も途中入場したお客様が転んでしまいました。その方の場合、座席に座っていたお客様にぶつかったので、幸いにも大怪我には至りませんでした。しかし映画を見ていたら突然ぶつかられた相手のお客様は、さぞかしびっくりされたことでしょう。

このように映画の上映中に場内に入ることは危険なことでもあります。

上映開始15分後の途中入場をお断りする目的は、お客様が転んで怪我をしたりする危険を考えた上での措置であることもご理解ください。映画は、場内が暗くなる前に席に着き、最初から楽しんでください。

10月中には、場内の至る所で破れかけている吸音壁を取り換える工事を行います。煙草の煙がロビーに漏れ出していて苦情の多かった喫煙室に関しては、6月の東京都の受動喫煙防止条例成立を期に様々な検討をいたしましたが、10月中に撤廃し完全禁煙といたします。

またオールナイトやシネマテークのような前売り券を当館とチケットぴあにて発売する興行では、前売り券のお客様の入場順は10番毎交互に均等にお呼びする方法に変更いたします。

どちらもお客様のお声を基に、お客様の安心、安全を基本に考え快適な映画鑑賞の環境つくりを目指した改変であります。不明な点などは、是非、スタッフまでお問い合わせください。

— 新文芸坐 支配人 矢田庸一郎


『ブロウアップ ヒデキ』、1975年の少女たちへ

2018/08/23 — 第354号

5月に西城秀樹さんが亡くなってすぐ、名画座として何かできないかという焦燥感の中、なんとか1日工面して『愛と誠』と『傷だらけの勲章』の2本を上映し、ファンの皆さんと追悼をさせていただきました。個人的には「歌手・西城秀樹」の若い魅力が詰まった『ブロウアップ ヒデキ』を上映したかったのですが、諸事情により実現できませんでした。しかしこの度、他作品と一緒に満を持して『ブロウアップ ヒデキ』を上映できることになったのです。■映画は「時」を記録します。1975年夏のコンサートツアー(と、オフの日)を記録した本作には、20歳のヒデキと、彼に熱狂する少女たちが記録されています。ヒデキのその後の歩みはテレビを通じて知っていますが、あの球場のグラウンドで祈るように彼を見つめていた少女たちのその後は、私は知ることができません。■あれから40余年、ずいぶん時が経ちました。大人になり生活を続ける、ということは楽しいだけではなかったと思います。それでもあの時、球場で、学校で、テレビの前で、ヒデキに熱狂していた気持ちはとても「純粋」だったことでしょう。■『ジャガー』の中で「俺が死んでも君は生きろ」とヒデキは言いました。日々の忙しさからしばらくヒデキを聴いていなかった人も、あの時の気持ちを思い出してみてはいかがでしょう。明日をより良く生きるヒントがあるかもしれません。■そして『ブロウアップヒデキ』9/24(月)20:50の回に限っては、発声・手拍子・ペンライト(←ヒデキが元祖ですものね)OKの「応援上映」となります。あの時に戻れます!

— 花俟良王


ショーシャンク事件に、感謝。

2018/07/31 — 第353号

早いもので、新文芸坐で勤務して今年で6年目になります。新文芸坐で働くきっかけを思い返してみると、当時私は芝居に打ち込んでいて、その芝居仲間に『ショーシャンクの空に』を観てない役者と一緒に芝居をしていたなんて信じられないと罵倒されたことでした。全く映画の知識がない私は、短絡的に名画座で働いてみたら映画の知識がつくかもしれない! と思い新文芸坐で働くことを決めました。ここで働いてからたくさんの映画に触れられ、勉強の日々です。■そうやって映画の知識量が増えれば、一本の映画を理解できる幅が格段に広がりますよね。今月上映される『レディ・プレイヤー1』がまさにそうでした。スピルバーグが撮った今作には往年の映画のキャラクターが登場し、その作品を思い起こさせます。「あ。これは、あの映画である!」と、一種のアハ体験。もちろん、そこに気付かなくても面白いのでしょうけど、分かるとご褒美のような、ちょっとしたお得感があります。6年前の私が観たところで、この興奮はなかったのだろうな…としみじみと感じました。■映画を観ることに慣れるにつれて、映画はいつだって私の感情の近いところで寄り添ってくれて、味方でいてくれるようになりました。私が都合の良いように捉えているだけなのかもしれませんが、観た作品の数だけ自分の中でエネルギーにしていくことができるようになりました。新文芸坐に足を運んでくださるお客様と、お話をするのも私のエネルギーの一つになります。これから先も、色々な作品に肯定され、生きていくヒントを与えてもらいたい。そんなきっかけを教えてくれた、新文芸坐で働けたことは幸せであり、私の人生の財産です。

— 松田恵里加


新文芸坐、全面禁煙化への動き

2018/06/29 — 第352号

東京都では6月27日に「受動喫煙防止条例」が成立しました。東京都の資料によると、この条例は「屋内での受動喫煙による健康影響を未然に防止し、誰もが快適に過ごせる街を実現するため、“人”に着目した都独自の新しいルールを構築していくこと」を目的とし、映画館を含む「多数の者が利用する施設」では、屋内禁煙とするか、喫煙専用室を設けることを義務付けています。

新文芸坐では、十年以上も前になりますが、ロビーに喫煙専用室を設置しました。しかし、入り口がロビー中央付近にあり、喫煙専用室の出入りの際、タバコの煙がロビーに漏れ出るという問題があります。

当館では、この問題を解決するため、喫煙専用室を移設することを検討しましたが、当館の構造上、移設はかなり難しいという結論になりました。

現状の受動喫煙への対応としましては、当館が入っている3階部分を全面的に屋内禁煙とすることを選択しようと考えています。遅くとも9月には、これを実施したいと考え、もろもろの調整作業を開始しています。

これにより喫煙をするお客様にはご不便をお掛けしてしまうことになる公算が非常に高いのですが、東京都の「受動喫煙防止法」の主旨を真摯に受け止めた対応策であることを、どうかご理解いただきたいと思います。

— 新文芸坐・支配人 矢田庸一郎


贅沢な日常

2018/05/28 — 第351号

新文芸坐ほど、あらゆるジャンルの名作を網羅し上映している映画館は他に無いと思います。新文芸坐で働いていると、滅多にスクリーンで観ることの出来ない貴重な映画が上映される機会が、いつものなんてことない日常としてやって来ます。■そんな贅沢な日常にすっかり慣れてしまった私は「この映画は滅多に観られない名作だ!出勤前に観なくては!」と思いながら、いざその日になったら寝坊して見逃してしまうなんてことがしょっちゅうで「私は名画を観て豊かな時間を過ごすより、二度寝する時間を選んでしまった、情けない…」なんて後悔する、贅沢でもったいない日々を送っています。■今月も上映スケジュールと自分のスケジュール帳とを見合わせて鑑賞予定を立てます。うーん…6月も魅力的な映画が目白押しで迷ってしまうな。久々にオールナイトを観てみようかな。エルマンノ・オルミ監督の作品は昨年新文芸坐で上映していたこともあって思い入れがあるんだな。ガメラは平成ガメラの思い出が強いけど、本家の昭和ガメラも気になる。グレタ・ガーウィグ特集はおしゃれで共感出来て楽しめそう。ここはあえての顔圧!ニコケイナイト2!にしようか…。なんて考えるのは楽しい時間です。(予定通りに行かないのがいつもの私なのだけど)■こうして選んだ映画が、心の奥底に触れ、人生の道筋を少し変えてしまうなんてことが、もしかしたらあるかもしれない。そんな可能性を多く秘めた、新文芸坐という空間にいられる時間を大切にしたいと思います。

— 中村悦子


まんすりいコラム

2018/11/24
特集〈シネマ・カーテンコール2018〉、今年の特徴
2018/09/27
途中入場のルール改変などについて
2018/08/23
『ブロウアップ ヒデキ』、1975年の少女たちへ
2018/07/31
ショーシャンク事件に、感謝。
2018/06/29
新文芸坐、全面禁煙化への動き
2018/05/28
贅沢な日常

年別アーカイブ