『ALWAYS 三丁目の夕日』と昭和30年代

2006/02/01 — 第133号

最近ある雑誌で昭和40年代の東京の風景を見ました。よくオリンピック(39年)以降変わったと言われる東京ですが、そこにはまだ30年代と地続きの風景がそこかしこに見られるように感じられました。46年生れの私には30年代の風景は写真や映画でしか知らないのですが、30年代にそれなりの郷愁を覚えるのは、幼少の頃に見た家並みがまだ当時の風景を留めていたせいかもしれません。●当館で2/25から上映する『ALWAYS 三丁目の夕日』は昭和33年を舞台にした映画です。東京タワー建設、集団就職、テレビ放送開始、駄菓子屋、ダイハツミゼット等、活気ある当時を象徴する道具立てが満載の明るく人情味のある映画です。これを作ったスタッフたちも当時を実際に知らない若い年齢の人たちです。セットでは作りきれない当時の風景をCGで創り出していますが、CGと演出を上手く絡める技術は若い世代ならではものでしょう。それにも増して見所なのは日本最大の東宝スタジオ第9ステージに組まれた「三丁目」のセットです。邦画としては近年希に見るスケールの大きさと密度で、ちょっとした小道具などに、細部まで凝りに凝ったスタッフの意気込みが感じられます。●ただ作り込んだ分だけリアルなのかというと、必ずしもそうではないようです。「テーマパークのようだ」と言われることもあるようですが、個人的には映画で当時を完全に再現することは諸々の理由で不可能だと思います。この映画は活気と希望に満ちた当時の人々に尊敬と羨望のまなざしを持った若いスタッフが「映画を作ること、見せること」その心意気で作られた今の映画なのだと思います。

— 梅原浩二


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