後期高齢者・95歳新藤兼人監督健在なり!

2008/07/01 — 第191号

75歳以上の人を対象にした「後期高齢者医療制度」が、国民に受け入れられず、政府の支持率は著しく低下している。75歳以上の人は、昭和一桁以前に生まれた人たちで、戦前、戦中、戦後の激動の時代を生き延びて、現在の日本の繁栄を築いた功労者たちである。国民生活と掛け離れた鈍感な“霞ヶ関中央官僚”の施策に「ノー」という意思表示をしても、韓国のように行動を起こすことをしない忍耐強い性格の世代なのである。■映画界では95歳の日本最高齢映画監督・新藤兼人が現役で、最新作『石内尋常高等小学校 花は散れども』を完成させたので、試写を観た。スクリーンからは、100歳を目前にした老人が監督したとは思えないほど若々しく、瑞々しく、刺激的な映像で約2時間の作品を見事に描き切った。■新藤監督の自伝に基づく映画は、故郷広島の小学校での少年時代から東京に出てきて新進気鋭のシナリオライターとして自立するまでの涙、愛、笑、友情の物語である。新藤監督の生涯追い求めてきたテーマである、愛とエロス、教師と生徒、戦争と平和がストレートに表現されている。■新藤監督の人生に強い影響を与えた先生(柄本明)が主役であるが、若き日の新藤監督に扮する豊川悦司と初恋役の大竹しのぶが扮する料亭の女将が、海辺の小屋で関係を持つシーンは、95歳の新藤監督の若々しい〈映画魂のマグマ〉がほとばしったような感じを受けて感動した。舞台挨拶では、既に2本のシナリオが完成しているので、是非撮りたいと次回作に思いを馳せていた。次回作に期待を抱かせる、驚くべき95歳の後期高齢者である。

— 永田稔