正気な人たちのサバイバル映画『ミスト』

2008/08/01 — 第192号

■映画『ミスト』(8/2(土)〜8(金)上映、併映はオスカー作品『ノーカントリー』)といえば、「ショーシャンクの空に」「グリーンマイル」の原作&監督コンビとして宣伝され、感動的なヒューマンドラマを期待した映画ファンがその期待を良くも悪くも大いに裏切られた映画です。ストーリーだけ追えば、ともすれば陳腐とも思われがちなSFホラー&スリラーです。しかしこの作品の真骨頂は、人間というものを描こうとしている点にありましょう。箱庭的な限定空間に様々なタイプの人間を配置し、個性的な登場人物たちがしっかりと描かれています。本当に怖いのは人間……。■映画のほとんどは、人々が閉じ込められたスーパーマーケットの中で進行します。買い物客には買い物以外に共通目的はなくバラバラの個人なのですが、危機的状況に直面し、次第に3つのグループに分かれていきます。(1)現実を直視する者、(2)現実を見ようとしない者、(3)現実でないものを見ようとする者。主人公は当然、(1)のグループの中心的な人物として描かれますが、これは言い換えれば“正気”グループです。この映画は、正気な人たちのサバイバルを描き、そして賛否両論を巻き起こした問題のラストへと突入していきます。このラストを思いついたダラボンは、悪魔(神?)のような人だ。■とある映画レビューで、(2)(3)グループの行動を現実的でない、したがってこの映画にはリアリティがないという批判を目にしました。こういった意見の持ち主は、きっと(2)グループの人なんだと思います。『ミスト』を見終えたら、現実社会を見渡してください。(2)(3)グループの人たちは、決して少なくないことは明らかですよね? 映画は現実の投影なわけです。◆このスケジュール表は今月より「しねまんすりい」とし、サイズを変更、月1回の発行といたします。ご意見ご要望等ございましたらお聞かせください。

— 関口芳雄