内田吐夢監督—韓昌祐マルハン会長—新文芸坐の因縁

2010/08/01 — 第216号

内田吐夢監督没後40年追悼上映のゲストに韓昌祐マルハン会長が来館しますのでご紹介いたします。韓会長は、新文芸坐を傘下に置く年商2兆円超の株式会社マルハンの創業者で、実業家として日本国内ばかりでなく、韓国、アメリカ、東南アジアなど国際的に活躍する傍ら、文化財団の理事長、交響楽団の理事など文化、芸術の振興、普及、発展に貢献しています。◆内田吐夢監督は、昭和29(1954)年満洲から帰国して、胃潰瘍治療のため国立第一病院に入院しました。一方、大学生の韓会長も“食よりも映画”の生活が原因で、栄養失調から肺結核を患い同じ病院に入院したことで、監督と知り合いになりました。詳しい話は舞台からお聞きいただきたいと思います。◆韓会長の自伝によると、大学時代に観た映画で印象深い作品として、ロッセリーニ監督の『戦火のかなた』、デ・シーカ監督の『自転車泥棒』を挙げ、エリザベス・テイラー主演の『ラプソディー』では、カーステレオから流れるメンデルスゾーンのバイオリン協奏曲に驚き、感激し、言葉では表現できない程感動したと述懐しています。◆入院を余儀なくされた韓青年は、病床での読書三昧、クラシック音楽を聴く日々から、人生を豊かにする生涯の趣味に出会い、教養、知識を吸収し、既に映画監督として高名であった内田吐夢監督と出会いました。韓会長の文化、芸術に対する造詣の深さは、大学時代に芽生えていたと考えると、新文芸坐の復活、再興の英断も納得できます。◆今回の企画を監督の次男・内田有作氏からのご案内で知った韓会長は、「ご縁だから」と来場を即決しました。内田吐夢監督—韓昌祐マルハン会長—新文芸坐の繋がりは、半世紀前に端緒がある浅からぬ因縁に驚いています。

— 永田稔