寂しいけれど、時代は変わる

2011/02/16 — 第225号

映画館の閉館が続いている。今年に入ってからも、恵比寿ガーデンシネマに続き、シネセゾン渋谷も姿を消そうとしている。多くの映画ファンと同じように私もこの2館で"単館系"や"アート系"として括られた作品を何度も観た。高校時代、学生服のまま友達と観に行っていた記憶がやけに鮮明で切なくなる。映画の後のお茶代と帰りの電車賃しか持っていないのに、渋谷や恵比寿に繰り出しているという事実が少しだけ僕らを大人の気分にさせてくれた。女の子とウディ・アレンを観た後、恵比寿駅で別れ話になった(というか別れた)こともある。みんな風の便りもなくなってしまった。元気なら嬉しい。◆この2館の閉館には様々な理由があるのだろうが、"そこでしか観ることができない"という価値が崩壊したことは大きいはずだ。映画が当たれば複数のスクリーンを持つシネコンでも上映されるようになる。配給会社、シネコンにとっては大変理にかなっている。現に私はここ数年、評判の"単館系"作品を近場のシネコンで何本も観ており、ガーデン、シネセゾンへは何年も足を運ぶことはなかった。利便性をとった自分を責めるつもりはないが、やはり別れは寂しい。◆時代は変わる。フィルムではないデジタル素材が増え、3-D作品が年間興行収入ベストテンに名を連ね、ⅰPadでどこでも映画が観ることができ、TOHOシネマズが入場料値下げを発表し、名画座路線へシフトする劇場が増えている。今、私たちには何ができるのか。何を壊し何を守るべきなのか。◆10年前のオープン時に標榜した「新世紀の名画座」を念頭に試行錯誤は続きます。お付き合いいただければ幸いです。

— 花俟良王