惜別

2011/08/01 — 第236号

故・原田芳雄さんのお通夜に行きお別れをしてきました。焼香者が大勢のために1時間30分も掛かって到達した式場を見た時、映画館に入るような錯覚になりました。真っ白い生花でスクリーンに模った祭壇の中央に、原田さんの遺影が花に埋まっていました。主役の悲しい最後のシーンです。■文芸坐時代の1978(昭和53)年に創業30周年記念企画として、男優の人気投票を行った時、原田さんが第一位に選ばれました。原田さんは、文芸坐ファンに選ばれたことを大変喜んでくださり、オールナイトコンサートなどのイベントに出演してくれました。■浅草の近くの下町育ちというご縁と、歳も近いことから、昨年亡くなった歌手の浅川マキを含めて、親しくさせてもらいました。原田さんの遺作となった『大鹿村騒動記』を涙しながら観ましたが、俳優座養成所15期生の卒業公演を観ているので、原田さんの俳優人生の最初と最後を観たことになりました。■『ぴあ』の最終号を見ています。72(昭和47)年に『ぴあ』が創刊された時、無料の情報で商売することに批判の声もありました。当時の映画興行界は、観客減少で経営面で厳しい時代が続いていましたが、今の時代と大きく違って、学生を中心とした若者たちが、映画を観てくれていました。■当時、東京と地方の文化の格差は大きく、上京して来た学生にとっては『ぴあ』は必需品でした。名画座としても『ぴあ』は、宣伝媒体として貴重な存在でしたので、創刊号から文芸坐の受付で発売いたしました。その後『ぴあ』は、情報のシステム開発ビジネスに成功して大会社になりました。『ぴあ』の最初と最後を知ることになりました。■俳優の原点から知っている原田さんを葬送することになったり、創刊から知っている『ぴあ』が休刊になるなど、親しい人、馴染みの物が身辺から消えてしまう惜別は、虚しく寂しく辛いことです。

— 永田稔


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