デジタルシネマと名画座の将来と「八日目の蝉」と「海炭市叙景」の二本立て

2011/08/16 — 第237号

デジタルシネマという大波が、いよいよ当館を含む中小の映画館やインディペンデント系の映画配給会社に迫って来ているようです。とは言っても分からないことだらけなので、先日、詳しい人に話を聞いてきました。▲デジタルシネマとは、デジタル撮影されたものをフィルムにすることなく、デジタル素材のまま映写することのようです。勿論35ミリ映写機は使えません。DCPというデジタル素材を、2Kと言われるブルーレイ水準よりさらに性能のいいプロジェクターで上映します。デジタルシネマ自体は2005年頃にハリウッドで統一規格が出来上がり、日本では3D映画「アバター」公開にあわせて多くの映画館に導入されましたが、しばらくは3Dを上映するシネコンなどに止まっていました。その最も大きな理由は、うん千万円するというコストの問題です。▲ところが、いよいよ大手配給会社が35ミリプリントを作るのを止めてDCPに一本化するという話が伝えられています。そうすると当館のようなロードショー館じゃない映画館も対応を考えなくてはならないのか、とか、また日本中がデジタルシネマが主流になったとき、3Dじゃないのに「八日目の蝉」「海炭市叙景」といった映画もDCPにしなければならないのか、といった懸念が各地で起こってきているようです。▲当館では「八日目の蝉」と「海炭市叙景」の二本立てを9月4日から上映します。勿論35ミリプリントです。両作品とも内容のある大変素晴らしい作品で、特にスクリーンに人間の体温が宿るような、映画ならではのみずみずしく繊細な演出と映像に、深く心を打たれます。全ての映画が「アバター」と同じような作品となる事態は貧しいと思います。▲映画ファンはデジタルとプリントのどちらを望んでいるのでしょうか。最も根本的と思えるこの検証が、あまり行われていないような気がします。

— 矢田庸一郎


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