アクション映画はアクションしているか

2011/11/16 — 第243号

最近、2歳の娘の教育と称して一緒に『雨に唄えば』をよく観る。今のうちからあの問答無用の名作を体に染み込ませておくのだ。物事の判断基準は『雨に唄えば』。それでいいじゃないか、と妻に問うても梨のつぶて、大概は私一人で画面を見ている。◆しかしそんな我が家の女性陣も、ドナルド・オコナーが一人踊り転げる「笑わせろ(Make ‘Em Laugh)」や、ジーン・ケリーとオコナーが息の合った超絶タップダンスで魅せる「モーゼ(Moses)」など激しい踊りには感心している。雨に唄うあのシーンではなく……。まあいい。映画教育の第一段階としては上出来としておこう。アクション(活動)こそが映画の根源なのだから。◆今月23日(水)から始まる<躍動の新作アジア映画特集 サスペンス&アクション篇>で上映する『イップ・マン』のドニー・イェンを見たとき、いかに自分が“アクション”に鈍感になっていたかを思い知らされた。最近は爆発の炎の中で銃を放つことや、車を衝突・大破させることが“アクション映画”であると錯覚していた節がある。日本での知名度の低さがもどかしい香港映画界の至宝ドニー・イェン(『孫文の義士団』にも出演)が、敬愛するブルース・リーの師匠で詠春拳の達人イップ・マンを演じる。武術を基礎から学び修練を積んだ彼の動きは力強くも軽やかで、美しい。◆笑顔で踊るジーン・ケリーやドナルド・オコナーから目が離せないように、“本物”にしか出せない躍動する肉体の説得力には誰もがねじ伏せられることだろう。ぜひ大スクリーンで共有していただきたい。

— 花俟良王