惜別!! 立川談志逝く

2011/12/16 — 第245号

「喪中につき年末年始の挨拶を失礼します」のハガキが届く時期になり、今年は多いと思っていたら、大トリで談志の訃報が飛び込んできました。談志の死は、落語界、芸能界の至宝を失ったばかりでなく、社会にとってもかけがいのない財産を失いました。■談志は、芸談、社会批判、政治評論、映画評など本気か洒落か、どちらとも判断しかねる了見に、談志ファンやアンチ談志にも注目される存在でした。談志は能弁で、論法鋭く粋に、簡潔明瞭に、時には過激な言葉で本質の核心をつきます。談志が同じ了見であると認めていたのが、ツッコミの鋭い高田文夫、北野武、爆笑問題太田光たちです。■天才落語家、革命児、毒舌家、異端児、風雲児と形容される談志ですが、高田文夫は、「偽悪者で典型的な江戸の人」とコメントしています。全く同感です。私が、心臓を患って入院していた昨年12月のことですが、出版されたばかりの談志著、聞き手吉川潮のコンビによる『人生、成り行き —談志一代記—』(新潮文庫)に、立川談志のサインと「心臓なんて なくてすみゃ ないほうがいい」とコメント入りの本を見舞いに届けてくれました。天下の談志が、自身もがんを患っているのに、私ごときにまで気を遣う細やかな優しい心に感激いたしました。■志ん生、円生、文楽から志ん朝、円楽、柳朝へと繋がってきた戦後からの落語史も、談志の死とともに昭和時代の終焉を迎えたことになりました。まさに「談志の前に談志なし、談志の後に談志なし」です。合掌。■この稿が、今年のトリになりますが、3.11の大震災と談志と俳優・原田芳雄の逝去により、忘れることのできない年になりました。この一年、新文芸坐をご愛顧くださり感謝申し上げます。来年も宜しくお願い申し上げます。良い新年をお迎えください。

— 永田稔