ワールド・ウォーは“G”

2013/11/15 — 第291号

11/26(火)から上映する『ワールド・ウォーZ』と『パシフィック・リム』の2本立て。またこの話題です(スタッフの支持率が異様に高いもので……)。■巨大ロボットに乗り込み必殺技を叫ぶ『パシフィック・リム』に、元ネタ国に住む我々が熱狂するのは当然ですが、そのあまりの評判に私が愛する『ワールド・ウォーZ』が霞んでいる気がしてなりません。■予め言っておきますがタイトルの“Z”は最終戦争を意味するZ、そして“ZOMBIE”のZです。予告編では曖昧にしていますがあのゾンビです。しかし血なまぐささはなく、日本でのレイティングは【R15+】でも【PG12】でもなく、なんと【G】。お茶の間の家族団欒の場で観て良い映画なのです。ゾンビは走る、血は出ない、で始祖ジョージ・A・ロメロを敬愛するゾンビマニアには反感を買いましたが、この作品の方向性は違います。■低予算・ワンシチュエーションが相場のゾンビ映画に莫大な製作費をかけ、原作取得から製作まで自分の会社で行い気合十分のブラッド・ピット主演の娯楽超大作。たった12秒で感染するウィルスの恐怖を、残酷描写の代わりに圧倒的なスリルと規模とスピード感で描き、掌の汗が乾くことはありません。そして普段この手の作品を観ないアート系な同僚が述べた「主人公が世界中を飛び回って凄かった」という小学生のような感想は正しく、まるでインディ・ジョーンズのように危機また危機の中世界を駆けるブラピは、アクションヒーローとして機能します。■実は難民・貧富問題など裏テーマも感じられますが、それはまた別の話。まずは大スクリーンでこのとんでもないスリルを堪能し、今の自分の境遇に感謝しましょう。

— 花俟良王