カメラが動けば

2014/05/23 — 第303号

当館でも上映した『ゼロ・グラビティ』のあれ、皆様ご覧になりましたか? そう、冒頭の13分に及ぶワンカット。A・キュアロン監督は過去の作品でも驚異のワンカット超長回しシーンがあり、こういうの好きみたいです。いや、長回しといっても、アンゲロプロスや相米慎二とは違いますよ。カメラが動くんです。宇宙空間からヒロインのヘルメットの中を経て主観視点、さらに宇宙空間に戻るまでカメラはワンカットで移動します。凄い。■しかし、一見不可能と思えるカメラの動きもCGを使えば何でも可能になります。そういう意味ではCGを使っていない時代のヒッチコックやキューブリック、デ・パルマの作品の方が、難易度が高いといえるかもしれません。■日本にもいました。イラストレーターとして知られる和田誠監督です。『麻雀放浪記』では、麻雀卓を囲む4人の周りをカメラがぐるんぐるん回ります。デ・パルマ張りの360度回転移動撮影。照明・録音のスタッフはどこにいるんでしょう? 『怖がる人々』でもカメラは同じ動きをして見せますが、難易度はさらにアップ。狭いエレベータの中央に立つ男女の周囲をカメラがぎゅるんぎゅるん回るのです。そもそもカメラはエレベータに入れるのか!? 『真夜中まで』では冒頭の長回しワンカットが不思議です。ビルの屋上から始まり、カメラは一度空中に浮かんでからビルの壁面に沿って下降、ある階の窓から侵入して奥まで移動、その後180度振り返る……これをワンカットです。手持ちのビデオカメラじゃない、でっかい映画用35mm撮影機ですよ。これを知って観ると監督たちの偉大さがわかります。

— 関口芳雄


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