トーを観たあと行きたい場所は・・・・・・

2014/06/26 — 第304号

遅番勤務の残り一時間くらいになると、頭の隅で「いま食べたら幸せになれる物リスト」を作り始めるんです。休憩の終わる六時頃からタイムカードを押す十一時頃までずっと仕事ですから、やっぱりね、お腹空いちゃうんですよ。そうですねぇ、食べるのも好きだし、あと食欲をそそる文章を読むのも好きです。森茉莉とか芦原すなおとか。国語の教科書で覚えているのも「ねずみのアナトール」や「温かいスープ」だし。でも、映画の食事シーンって、あんまり食欲をかき立てられないんですよ、私は。記憶には残るけど「ご飯食べたーい!」みたいな原始的な欲求はあまり湧かないんです。何でだろう……想像の余地なく料理が映し出されてしまうからかな。あ、けどジョニー・トーは例外です。先日うちで上映した怪作『名探偵ゴッド・アイ』、ご覧になりました? すごいですよね、アンディ・ラウ。食って飲んで吐く! の繰り返し。私は途中からもう、麺類が食べたくて食べたくて。しかも沖縄そば。なんで沖縄なのかはわかんないんですけど。トー作品って食事シーンが多いんです。で、ただ食べるだけじゃなくて、ちゃんと人間関係や物語と絡みあっている。料理映画ならともかく、トーといったらノワール。ノワールと食事って、なかなかない組み合わせですよね。そうそう、七月末からトー監督の『ドラッグ・ウォー 毒戦』を上映するんですよ。「表現規制の厳しい中国本土で撮影したアクション大作」らしいです。「トー初の中国本土撮影」ってことで、料理も中華メインでしょうか。辛いのはちょっと苦手なので、四川より北京や上海のほうがいいけど、トーならもう、何でもいいです。上映後に寄るお店、考えておかないと。

— 小澤麻梨子