70周年の東宝映画と豊島区制

2002/11/01 — 第55号

かって映画興行界は、気軽に楽しめる身近な娯楽として不況に強い業種と言われました。しかし、娯楽の多様化と共に映画産業は、斜陽となり興行収入減を入場料金の値上げで補填してきました。いつの間にかロードショーの入場料金は、欧米の2倍以上の1,800円になっていました。最近のデフレ経済においては、決して安い値段とは言い難い環境にあります。◆大手映画会社は制作から撤退し、かっては節目の年に作られていた記念映画や正月映画などのスター総出演による豪華な映画は作られなくなりました。今年70周年の節目を迎える東宝映画も60周年の時と同様に記念映画は制作されません。◆豊島区内には、老若男女が大勢行き交う全国有数の繁華街池袋と“お年寄りの原宿”巣鴨という商業の街と、立教、学習院、大正、東京音楽大学の4つの大学がある文教の街があります。豊島区は最近、区制施行70周年を記念して《地域文化の創造》をテーマに『大学サミット』を開催しました。豊島区長と4大学の総長、学長が出席してのディスカッションと4大学学生からの提案がありました。◆学生たちは、《地域文化》を『映画文化の風薫る豊島区』『artの街〜豊島区改造計画〜』『WARAIKEプロジェクト〜毎日がお笑いのまち〜』というテーマに分けて4大学混成の3チームが、数ヶ月にわたり各方面に取材をして提案をまとめました。◆『映画文化』に関しては、大都映画の撮影所、新文芸坐の前身である人世坐の存在に着目し、歴史的な映画の街と捉え、〈映画祭〉や〈映画ビジネス〉までを視野に入れた未来像を描き映画文化を発展させようという提案がなされました。他の2チームも同様に素晴らしい提案をしました。学生たちの大胆な発想、展開に敬服し、その柔軟な頭脳に憧憬の念を持ちました。豊島区の発信する文化施策に注目を!!

— 永田稔