映画フィルム—日々雑感4

2003/10/01 — 第77号

先日社会派映画の特集で70年代のドキュメンタリー映画を何本か上映したとき、久しぶりに画面に映しだされている人物の口と聞こえてくる音声がずれている映像を見ました。画と音を完全にシンクロ(同期)させるにはカメラと録音機を電気的にシンクロさせる装置が必要になり、そういった機材は高価なので潤沢な制作費の無いドキュメンタリーやニュース映画等ではあまり使われる事がありませんでした。ビデオカメラが完全に普及するまでは、こういった映画はテレビでの放映用でも16ミリフィルムで撮影されることが多く、状況によってはゼンマイ式のカメラを使っていたこともあるくらいなので、画と音がずれるのは当時は当たり前の事でした。子供の時(70年代)たまにこういった映像がテレビで流れると少々違和感を感じたものでしたが、海の向こうのアメリカ人などはもっと神経質なのか、ディズニー等のアニメでは台詞と画を完璧に合わせようとしています。「『画と音が完璧に合っていなければいけない』特撮なら『完全に本物に見えなければいけない』そうでないとアメリカの観客が納得しないのは、彼らが即物的だからだ。」というような内容の話をある監督がしてましたが、その真偽はさておいても、そういった技術に対する貪欲さ、達成度はアメリカは世界一だと思います。映画の技術の際たるもののひとつに巨大スクリーンによる立体映像というものがあります。先日アイマックスシアターで見た『ジェームズ・キャメロンのタイタニックの秘密』、立体映像で観るビル・パクストンの鼻は思いのほか高かったです。(あ、アイマックスもキャメロンもアメリカでなくカナダ産でしたね)

— 梅原浩二