私的・韓国映画黄金期

2004/02/16 — 第86号

◆今一番観たい映画は? と聞かれたら迷わずに韓国映画『殺人の追憶』(今春公開予定)と答えます。実際の殺人事件を元に、緻密な脚本と斬新な映像で綴るというこのサスペンスドラマは昨年の韓国内でのNO.1ヒット作であり、東京国際映画祭・アジア部門グランプリ作品でもあります。観たい。◆とあるビデオ店で20代の韓国人留学生と知り合いました。彼は若者がガソリンスタンドを襲撃する『アタック・ザ・ガス・ステーション!』がいかに韓国の伝統・風習を打破し、『猟奇的な彼女』へと続く新感覚の映画への道を切り開いたかを、また、国内のスクリーン・クォーター制(外国映画の公開制限)により生まれる映画人の責任とプライドについてを力説してくれました。彼も私も韓国映画業界の本当は判りませんが、ブームを超えてすっかり日本に定着した現在の韓国映画を考えると妙に納得できました。◆多くの人と同じように私も『シュリ』や『八月のクリスマス』から韓国映画を観始めた一人です。そして『猟奇的〜』『ラスト・プレゼント』で涙を拭い、『ペパーミント・キャンディー』では2〜3日ソル・ギョングの苦悩に憑依された一人でもあります。メロでもベタでも実験的でも保たれるその水準の高さには、追体験でしかない日本映画黄金期への羨望にも似た感覚さえ覚えます。◆ジャンル分け不可能と言われた快作『ほえる犬は噛まない』でデビューしたポン・ジュノ監督の2作目。どれほど期待しても『殺人の追憶』はそれに応えてくれるでしょう。韓国映画の勢いはまだまだ健在です。プロローグは当館の〈スクリーンで観ておきたい珠玉の名編Vol. 4 アジア映画の輝き〉でどうぞ。

— 花俟良王


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