まんすりいコラム

明けましておめでとうございます

2019/01/01 — 第358号

日頃より、新文芸坐をご愛顧いただきまして誠にありがとうございます。

2018年は、とても思い出深い上映会を行うことができました。森田芳光監督作品の全作上映会です。全28本を制作年順に上映し各作品の上映終了後に、森田芳光監督夫人で映画プロデューサー・三沢和子さんと、ライムスター宇多丸さんのトークショーを行うという、今までに例のない上映会となりました。ご来場いただいたお客様に加え、この企画の話を当館に持ってきてくださった三沢和子さんと、ぴあの皆様、そしてお忙しいスケジュールを調整していただき、毎回心躍る楽しいトークをしてくださった宇多丸さんに心よりお礼を申し上げます。

この上映会を通して、森田監督作品に多くの再発見をされた方は少なくなかっただろうと思います。また映画を作ること、そして映画を見ることとは、といった根源的な問いに胸を熱くした方もいたのではないでしょうか。映画ファンの様々な思いが混然一体となり、ある時、劇場の空間に不思議な一体感が出来上がったように思えました。

わたしたちは2019年も、映画が上映され、映画を見ていただくことが、かけがえのない人生の喜び、新鮮な驚きや発見に満ちた体験となるような場でありたいと心より願います。

新文芸坐

矢田庸一郎 関口芳雄
梅原浩二 花俟良王 後藤佑輔
柳原弘 小澤麻梨子 山下萌 松田恵里加 青山貴昭 濱本栄紀
泉未来 星野依子 西川由里子 多田優香 平山晋也 藤井叶衣 新井暁介

— スタッフ一同


特集〈シネマ・カーテンコール2018〉、今年の特徴

2018/11/24 — 第357号

年末恒例の外国映画特集〈シネマ・カーテンコール〉を開催します。今年日本公開された話題作の中から、まだ当館で上映していない作品を取り上げています。それぞれの番組にはテーマを設けていますが、本紙にはスペースの都合で掲載できませんでした。特集チラシには記載がありますのでご参考にしていただければ幸いです。■今回の上映作品は、『英国総督 最後の家』『はじめてのおもてなし』『希望のかなた』『ウインド・リバー』『女は二度決断する』など多くの作品で、移民、難民、もしくは国内でも故郷を離れざるを得なかった人々が描かれています。番組編成の際には特に意識せず、単に良質な作品を求めていたので後から驚きました。もちろん移民・難民問題は昔からあります。しかし、毎年この特集を企画していますが、ここまで反映された年はなかったと思います。■映画は世相を反映します。「移民・難民」という言葉にすると、島国の日本で暮らしているとあまり現実感がないかもしれません。しかし増える外国人労働者の処遇問題が報道され、池袋界隈の外国人観光客も増え、私たちも日常生活の中で文化や価値感の異なる外国の方と接することは増えました。■先にあげた作品中『はじめてのおもてなし』には、受け入れに困惑しながらも「外国人」ではなく「人」として接する心の機微が描かれています。

— 花俟良王


途中入場のルール改変などについて

2018/09/27 — 第355号

新文芸坐では、映画が始まって30分過ぎると映画の途中入場をお断りしております。これを11月からは、15分過ぎたら入場できない、というルールに改めさせていただく方向で検討をしております。

わたしは、過去に途中入場したお客様が転んで出血し、病院にお連れした経験があります。つい最近も途中入場したお客様が転んでしまいました。その方の場合、座席に座っていたお客様にぶつかったので、幸いにも大怪我には至りませんでした。しかし映画を見ていたら突然ぶつかられた相手のお客様は、さぞかしびっくりされたことでしょう。

このように映画の上映中に場内に入ることは危険なことでもあります。

上映開始15分後の途中入場をお断りする目的は、お客様が転んで怪我をしたりする危険を考えた上での措置であることもご理解ください。映画は、場内が暗くなる前に席に着き、最初から楽しんでください。

10月中には、場内の至る所で破れかけている吸音壁を取り換える工事を行います。煙草の煙がロビーに漏れ出していて苦情の多かった喫煙室に関しては、6月の東京都の受動喫煙防止条例成立を期に様々な検討をいたしましたが、10月中に撤廃し完全禁煙といたします。

またオールナイトやシネマテークのような前売り券を当館とチケットぴあにて発売する興行では、前売り券のお客様の入場順は10番毎交互に均等にお呼びする方法に変更いたします。

どちらもお客様のお声を基に、お客様の安心、安全を基本に考え快適な映画鑑賞の環境つくりを目指した改変であります。不明な点などは、是非、スタッフまでお問い合わせください。

— 新文芸坐 支配人 矢田庸一郎


『ブロウアップ ヒデキ』、1975年の少女たちへ

2018/08/23 — 第354号

5月に西城秀樹さんが亡くなってすぐ、名画座として何かできないかという焦燥感の中、なんとか1日工面して『愛と誠』と『傷だらけの勲章』の2本を上映し、ファンの皆さんと追悼をさせていただきました。個人的には「歌手・西城秀樹」の若い魅力が詰まった『ブロウアップ ヒデキ』を上映したかったのですが、諸事情により実現できませんでした。しかしこの度、他作品と一緒に満を持して『ブロウアップ ヒデキ』を上映できることになったのです。■映画は「時」を記録します。1975年夏のコンサートツアー(と、オフの日)を記録した本作には、20歳のヒデキと、彼に熱狂する少女たちが記録されています。ヒデキのその後の歩みはテレビを通じて知っていますが、あの球場のグラウンドで祈るように彼を見つめていた少女たちのその後は、私は知ることができません。■あれから40余年、ずいぶん時が経ちました。大人になり生活を続ける、ということは楽しいだけではなかったと思います。それでもあの時、球場で、学校で、テレビの前で、ヒデキに熱狂していた気持ちはとても「純粋」だったことでしょう。■『ジャガー』の中で「俺が死んでも君は生きろ」とヒデキは言いました。日々の忙しさからしばらくヒデキを聴いていなかった人も、あの時の気持ちを思い出してみてはいかがでしょう。明日をより良く生きるヒントがあるかもしれません。■そして『ブロウアップヒデキ』9/24(月)20:50の回に限っては、発声・手拍子・ペンライト(←ヒデキが元祖ですものね)OKの「応援上映」となります。あの時に戻れます!

— 花俟良王


ショーシャンク事件に、感謝。

2018/07/31 — 第353号

早いもので、新文芸坐で勤務して今年で6年目になります。新文芸坐で働くきっかけを思い返してみると、当時私は芝居に打ち込んでいて、その芝居仲間に『ショーシャンクの空に』を観てない役者と一緒に芝居をしていたなんて信じられないと罵倒されたことでした。全く映画の知識がない私は、短絡的に名画座で働いてみたら映画の知識がつくかもしれない! と思い新文芸坐で働くことを決めました。ここで働いてからたくさんの映画に触れられ、勉強の日々です。■そうやって映画の知識量が増えれば、一本の映画を理解できる幅が格段に広がりますよね。今月上映される『レディ・プレイヤー1』がまさにそうでした。スピルバーグが撮った今作には往年の映画のキャラクターが登場し、その作品を思い起こさせます。「あ。これは、あの映画である!」と、一種のアハ体験。もちろん、そこに気付かなくても面白いのでしょうけど、分かるとご褒美のような、ちょっとしたお得感があります。6年前の私が観たところで、この興奮はなかったのだろうな…としみじみと感じました。■映画を観ることに慣れるにつれて、映画はいつだって私の感情の近いところで寄り添ってくれて、味方でいてくれるようになりました。私が都合の良いように捉えているだけなのかもしれませんが、観た作品の数だけ自分の中でエネルギーにしていくことができるようになりました。新文芸坐に足を運んでくださるお客様と、お話をするのも私のエネルギーの一つになります。これから先も、色々な作品に肯定され、生きていくヒントを与えてもらいたい。そんなきっかけを教えてくれた、新文芸坐で働けたことは幸せであり、私の人生の財産です。

— 松田恵里加


新文芸坐、全面禁煙化への動き

2018/06/29 — 第352号

東京都では6月27日に「受動喫煙防止条例」が成立しました。東京都の資料によると、この条例は「屋内での受動喫煙による健康影響を未然に防止し、誰もが快適に過ごせる街を実現するため、“人”に着目した都独自の新しいルールを構築していくこと」を目的とし、映画館を含む「多数の者が利用する施設」では、屋内禁煙とするか、喫煙専用室を設けることを義務付けています。

新文芸坐では、十年以上も前になりますが、ロビーに喫煙専用室を設置しました。しかし、入り口がロビー中央付近にあり、喫煙専用室の出入りの際、タバコの煙がロビーに漏れ出るという問題があります。

当館では、この問題を解決するため、喫煙専用室を移設することを検討しましたが、当館の構造上、移設はかなり難しいという結論になりました。

現状の受動喫煙への対応としましては、当館が入っている3階部分を全面的に屋内禁煙とすることを選択しようと考えています。遅くとも9月には、これを実施したいと考え、もろもろの調整作業を開始しています。

これにより喫煙をするお客様にはご不便をお掛けしてしまうことになる公算が非常に高いのですが、東京都の「受動喫煙防止法」の主旨を真摯に受け止めた対応策であることを、どうかご理解いただきたいと思います。

— 新文芸坐・支配人 矢田庸一郎


まんすりいコラム

2019/08/19
For 京都アニメーション
2019/07/29
北野武アンコールに寄せて
2019/06/28
7/7より「キネマ旬報ベスト・テンからたどる昭和・戦後映画史」
2019/05/24
追悼 内田裕也
2019/04/25
「しねまんすりい」リニューアル
2019/03/31
「2018年 新文芸坐ベストテン」決定!

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