まんすりいコラム

ハン・ソッキュと新世代韓国映画たち―見るなら今!の巻

2001/03/21 — 第12号

韓国全土で200万人の観客動員を超え、ついに韓国にもブロックバスターの時代到来と騒がれた映画が当館で3月13日より始まるニュー・コリアン・シネマ・ウィークの中で上映する『シュリ』です。中野裕通によるスピード感あふれる予告編の効果もあって日本でも動員100万人の大ヒット。この優れた予告編にたがわず本編も弾数多き銃撃アクションあり、南北問題あり、禁じられた恋ありのてんこもりで最後まで息つく暇もないのですが、なかでも本作で日本のファンもかなり増えたと思われるハン・ソッキュの“誠実さ”には心打たれるものがあります(チェ・ミンシクの怪演も素晴らしい!)。役に対する誠実さが彼の役者としての特質であり、魅力でもあり、『シュリ』でも彼の魅力を十分味わえるのですが、今回は彼の主演作をさらに3本、『八月のクリスマス』『グリーンフィッシュ』『カル』も上映いたします。『グリーンフィッシュ』は今回上映の傑作『ペパーミント・キャンディー』のイ・チャンドン監督のデビュー作としても有名ですし、『カル』『八月のクリスマス』では好感度No.1女優、シム・ウナと共演し、その彼女の主演作『美術館の隣の動物園』も上映いたします。そのほか香港のクリストファー・ドイル撮影の『モーテルカクタス』や韓国でのホラーブーム先駆けとなった『女校怪談』などなど旬の韓国映画を盛りだくさん上映いたします。『ユリョン』や『JSA』等、公開待ち遠しい話題沸騰の新作韓国映画予告編大会もお楽しみに。

— 梅原浩二


怖がりながら、ニヤケてください

2001/03/11 — 第11号

『TATARI』という映画をご存知ですか? 昨年公開されたギミック満載の愛おしいB級ホラーなのですが、何を隠そう、その映画のプロデューサーは『フォレスト・ガンプ』『キャスト・アウェイ』のロバート・ゼメキス。しかも、自ら設立したホラー映画専門の製作会社の第一弾。そうです、彼はかなりのホラー/オカルト映画ファンだったのです。

そんな人が遂に自分でコワ〜イ映画を撮っちゃいました。『ホワット・ライズ・ビニース』。意味は分かりません。好きなもんだから自分も楽しんでるのが手にとるように伝わります。そこはハリウッドの優等生として知られるゼメキス監督のこと、己の監督作に血ドバドバなんて下品な手は使わず、スリラー要素を盛り込み、あくまで物語と雰囲気で恐怖と驚嘆の世界へ誘います。嬉しいのは、往年のスリラー(特にヒッチコック!)をリスペクトしていること。前半はこらえてこらえての手法や写真立て、鏡等の小道具の使い方、そしてオーケストラによるあの旋律! くぅ〜。これよ、これ。こういうの、ありそで無かったもんな最近。目立たぬように最先端の特撮も施され、これぞ新世紀のオカルト・スリラー也。もっと書きたいけどこの種の映画に長話は禁物。こんなコワオモな映画を大画面・大音量で見ない手はありません。3月6日から1週間、口にチャックでお待ちしております。最後にひとつだけ。同時上映は『エクソシスト/ディレクターズ・カット版』! どうだ!

— 花俟良王


部屋を出て、映画館で映画を聞こう!

2001/03/01 — 第10号

◆新文芸坐オープニング特集『21世紀に伝えたい──戦後日本映画 時代が選んだ86本』に述べ30人の監督、俳優さんたちが“柿落とし”の舞台挨拶に駆けつけて下さり、“トークショー”の中で出演作品についてのエピソードや文芸坐の思い出話を熱く語って下さいました。◆監督、俳優さんたちは、驚いたことに20年も30年も或いはそれよりもっと前の撮影現場の状況などを詳細に記憶していて、当時の情景、雰囲気が面白く、楽しく伝わってきました。映画をより奥深く知ることができ、お聞きになったお客様は、きっとご満足なさり、得をした気分になったことでしょう。◆この“トークショー”のように“語る”ことによって映画を伝えていくことも大切なことではないかと実感いたしました。これからも映画関係者や映画好きタレントに協力してもらい、このような企画を考えていきたいと思います。◆その第一弾として3月の毎土曜日のオールナイトは、高田文夫のプロデュースにより、イッセー尾形(3日)ビートたけし(10日)沢田研二(17日)大滝詠一(24日)高平哲郎(31日)の超豪華ゲストによる《トークショー&ゲストが選んだ映画》の特別企画です。(チラシをご覧ください)◆ゲストが選んだこだわりの映画は、名作あり、傑作あり、今回を見逃すと再びスクリーンで見ることができないであろう珍品ありとバラエティーに富んだ映画が上映されます。現代は、自分の部屋の中で様々な方法により映画を見ることができますが、部屋から出て超豪華ゲストのトークショーを聞いて映画をお楽しみいただきたいと思います。

— 永田稔


アイルランド映画ファンの独り言(2)

2001/02/21 — 第9号

◆いつの頃からか、アイルランドやスコットランドの映画が好きになっていた。映画を観るだけに飽き足らず、かの地へ行ってみたいと思うようになった。◆1997年3月、旧文芸坐閉館。職場がなくなったわけだが、とりあえず自由な時間ができたことは嬉しかった。で、行ってきましたよアイルランド&スコットランド。汽車とバス・タクシーを乗り継いで、お気に入り映画のロケ地やゆかりの地を二十日間ほど回ってきたのだ。歴史映画の主人公を記念したモニュメント、物語の舞台となった郵便局・銀行・橋などの建造物、観光客のいない小さな漁村、周囲に建築物が見当たらない草原の無人駅…。映画好きは、ツアーじゃだめです。◆スクリーンで見た景色を目の当たりにし大好きな映画をより身近に感じられ、スコブル満足ではあったのだが、旅の途中ちょっとした事件があった。エジンバラからロンドンに移動中、乗車していた列車が数十分間緊急停車したのだ。原因はロンドン市内の主要駅とヒースロー空港をターゲットとした爆破予告があった為。もちろんIRA(アイルランド共和軍)のしわざだ。車内アナウンスが流れると乗客からは小さな笑いがおこっていたので、英国の人には慣れっこなのかもしれない。などと考えながら、“IRAは実在するんだ”なんて当たり前のことを身をもって知ったのであった。◆というわけでIRAに無関係なアイルランド映画「アンジェラの灰」&「フィオナが恋していた頃」の二本立は2/20(火)〜26(月)です。観るべし、そして涙すべし。

— 関口芳雄


『オーロラの彼方へ』……タイトル変えてほしかったの巻

2001/02/11 — 第8号

◆期待して映画館に入ったのに面白くなかった、ということはよくありますね。だがその逆はあまりないような。ところでこの『オーロラの彼方へ』。期待してないどころか、積極的に観たくないと思っていたのに何の因果か映画館に入っちゃった。するとどうでしょう、おもしれぇーじゃん!! (オレだけ?)。◆“NYでオーロラの見える日、30年前と無線がつながった。それは父が死ぬ前日……。父と子の絆に涙する感動作”だと(プレスより)。ゲロゲロ。観たくねーと思うよね。ところがこの映画、実は推理サスペンスだったのだ。◆息子が30年前の父(今は既に死亡)と無線で交信してしまったため歴史が狂い、当時世間を騒がせていた殺人鬼に母(今もちゃんと生きてる)が狙われるハメに。父と息子は無線で連絡を取り合って捜査に乗り出すが、父が逆にその容疑者として警察に捕まり、息子の方にも殺人鬼の魔の手が……(よく分からないという方、映画観てね)。◆主演は、妻メグ・ライアンをラッセル・クロウに寝取られ世界中から同情された(笑われた?)デニス・クエイドに、『シン・レッド・ライン』で女性陣から注目の的、ジム・カヴィーゼル。この人、とっても敬虔なクリスチャンで“夢は?”と訊かれたら「キリストと話したい」だって(笑)。時空を越えて悪人と戦ううちに人々が不思議な絆で結ばれるという物語は、ちょっと『ゴースト』を思い出させます。ロードショーは大コケ。だからビデオじゃなくてちゃんと映画館で観てると、意外な時に自慢できたりするかもよ。原題は「周波数」。あっ、なんかいい感じ。

— 矢田庸一郎


アイルランド映画ファンの独り言(1)

2001/02/01 — 第7号

◆アイルランドの映画というと、IRAを思い浮かべる人が多いのでは? しかしテロが横行していたのは主に北アイルランドを中心としたイギリス=UK(連合王国)。むしろ、独立後のアイルランド共和国を舞台にした映画は、牧歌的でほのぼのした作品が多いんです。私はアイルランド映画の数々を思い浮かべるとそれだけで幸福な気分になってくる。無骨で人なつっこい国民性、緑が萌える大地、信心深さといい加減さがほどよく同居したカトリック文化、その影響で子だくさんの家族…。人々には悩みなどなく(あってもギネスかウィスキーで忘れ)、毎日笑顔で過ごしているのではないか、などとつい想像しがち。◆さて、アイルランドってそんな面ばかりなのだろうか? というわけで「アンジェラの灰」&「フィオナが恋していた頃」の2本立をご覧ください。アイルランドといえばカトリックの影響を抜きには語れない。そのカトリック教会の否定的な一面を描いているところが2本の共通点で、「アンジェラの灰」ではアイルランドの某教会での撮影を拒否されたほど。笑顔ばかりではない、アイルランドの怒りや悲しみを見てください…。などと言っておきながら、両作品を観たあともアイルランドに対する憧憬と好感は少しも薄れることのない私なのでありました。

— 関口芳雄


まんすりいコラム

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