まんすりいコラム:2001年

日本映画の名作が続々!

2001/09/16 — 第28号

“ベストプライス ロードショー”第1弾、『ダンボールハウスガール』がインターネット「えいがなび」の予告編人気ランキングで初登場第1位! というわけで話題沸騰中の『ダンボールハウスガール』はいよいよ10/6(土)より公開だ。■ところで新文芸坐はもう名画をやらないのかとご心配のお客様、いえいえそんなことはございません。モーニング&レイトショーで盛りだくさんの連続上映を行ないます。■第1弾は10/6より「『おかえり、寅さん!』スクリーンに帰ってきた渥美清」特集。96年8月、“寅さん”こと渥美清が亡くなって早いものでもう5年。おっちょこちょいだけど人がよく、決して豊かではないけれど悲嘆に暮れるわけではない、そんな愛すべき庶民を演じたら彼の右に出た者なし! ■メインの上映作品はご存知『男はつらいよ』シリーズ。今回上映は初期の作品群。後期の好好爺めいてきた“寅さん”と違い、舌鋒鋭くユーモアの中にも毒があるトンガッた“寅さん”の姿を存分にお楽しみあれ。またこのシリーズを観たことがない若い世代の方々、それから食わず嫌いの方々に是非とも観てほしい。特に1作目と浅丘ルリ子がマドンナの3部作はハンカチ必携の絶品ですゾ! ■いうまでもなく“寅さん”だけが渥美清ではない。今回の上映作品の中でも『沓掛時次郎 遊侠一匹』は異色作。加藤泰監督、中村錦之助主演の傑作股旅モノで、渥美清は錦之助の弟分で途中で惨殺されてしまう。しかし渥美清の名演によって後半の錦之助の苦渋がより鮮烈になった。評論家の間でも評価が高い逸品である。■第2弾は内田吐夢監督特集で『大菩薩峠』や『宮本武蔵』シリーズなどを上映する予定。どうぞお楽しみに!!

— 矢田庸一郎


伝説のトークライブ『銀幕同窓会』が本になった!!

2001/09/01 — 第27号

◆昭和30年代(1955)〜40年代の映画は、「娯楽の王様」であった。近年シネコンブームで映画館は増えているが、当時、映画館は地方の小さな町にも必ず在り、現在の3倍の約8千館もあり、国民一人当たり年間10回は映画館に通っていた。(昨年は年間1回強である。)◆その頃のことを高田文夫は、「終戦直後に生まれた我々団塊の世代が子供だった頃、茶の間にはまだテレビは無く、娯楽と言えばまずラジオ、そして何よりも映画だった。映画館こそが、我々の本当の教室だった。我々は映画の中から様々なことを学んだ。愛と勇気と正と邪と涙と笑いとラブシーン……。学校ではなかなか教えてくれない大切なことを、暗やみの中へ学びに行った。」(『銀幕同窓会』の序文〈予告編〉にかえて、より抜粋)と書いている。◆その高田文夫が幹事役を買って出て、イッセー尾形、ビートたけし、大滝詠一、高平哲郎など同世代の仲間との同窓会を今年の3月毎土曜日にトークショーと映画上映のオールナイト『高田文夫と五人の団塊者〈銀幕同窓会〉み〜んなオールナイトで大きくなった』を新文芸坐で行った。◆“聞く達人”高田文夫の軽妙洒脱な司会で、大爆笑の中にも団塊世代の映画へのオマージュ、映画遍歴など盛り沢山な楽しいライブであった。場内は沸きに沸いたが、チケットは前売り即完売のため、生で聞けたのは満席の300人のファンのみであった。◆そこで高田文夫は、この豪華な顔合わせによる映画本は他にないこともあり、伝説のライブの感動をもっと多くの映画ファンにも贈りたいと、その模様を収録した本を編纂してしまった。丁々発止と面白く、可笑しい会話の中に、感性豊かな青春時代を映画全盛の時に過ごした団塊世代の映画観、映画評、社会風俗など貴重な歴史的な証言がいっぱいです。映画ファン必携の書、懐かしい旧文芸坐が表紙の『銀幕同窓会』は、1,500円で新文芸坐売店で発売中!!

— 永田稔


日本映画“Best Price”〈適正価格〉ロードショー

2001/08/16 — 第26号

「映画料金、もっと安くてもいいんじゃない」、「この映画、興味はあるけど1800円出すのはチョッと」。こんな思いを抱いたことのある人は決して少なくないはず。■当館では10月上旬より、フレッシュで個性豊かな日本映画4本をロードショーします。それにあたりわたしたちは配給会社シネカノンと“適正入場料金とは?”と、とことん考えました。結論は思い切ったプライスダウン。入場料金1300円です。くしくもこの料金はわたしたちが行なってきた名画座二本立て上映と同じ料金です。■第1弾はドラマなどで人気急上昇の米倉涼子が映画初主演の『ダンボールハウスガール』。第2弾『みすず』は26歳で夭折した天才童謡詩人・金子みすずの生涯を『地雷を踏んだらサヨウナラ』の五十嵐匠監督が美しい映像で綴った一作。第3弾は『TATTOO〔刺青〕あり』(’82)などの高橋伴明監督、3年ぶりの新作『光の雨』です。テーマは連合赤軍事件。同時代を生きた高橋伴明の渾身の一作。宣伝根性抜きで本年度ベストワン有力候補だと思います。そして現在話題沸騰中の小説『白い犬とワルツを』(テリ―・ケイ原作/新潮文庫)の映画化作品が第4弾。“妻をなくした老人の前にあらわれた白い犬。この犬は老人にしか見えなったが、しかし……”。この感動ストーリーがどのような映画となって出来上がるか興味も尽きないところ。■どれも決して大作ではない。でも作り手たちの意欲が画面にみなぎる意欲作ばかり。「昔はよく日本映画を観たけどねぇ〜」というあなた。「オレはハリウッド大作専門」というキミ。もう一度日本映画に戻ってきてみませんか。試してみましょうよ。映画館の暗闇で新しい日本映画の息吹に触れてみて。

— 矢田庸一郎


「中国映画祭2001」開催!

2001/08/01 — 第25号

当館の前身、文芸坐では1983年から1990年まで毎年秋、徳間書店社長、故徳間康快氏のプロデュースで「中国映画祭」を行なってきました。9月20日はその徳間康快氏の一周忌となります。当館では徳間書店のご協力のもと、日中両国の民間レベルの文化交流に尽くされた氏の志を受け継ぎ、9月15日より「中国映画祭2001」を開催することになりました。■今回の上映作品は26作品。チャン・イーモウ監督の鮮烈デビュー作『紅いコーリャン』に感動ラブストーリー『初恋のきた道』。世界的巨匠チェン・カイコー監督のデビュー作『黄色い大地』。シエ・チン監督作品は、文化大革命を批判し日本でも大ヒットの『芙蓉鎮』に歴史巨編『阿片戦争』。魯迅原作『阿Q正伝』に老舎原作『駱駝の祥子(しゃんつ)』と、盛りだくさんの内容です。さらに今回は中国映画の最も新しい波、いわゆる第六世代と呼ばれる映画作家たちの作品を『ふたりの人魚』など4作品上映します。■ところで日中両国の間に例年になく波紋を投げかけた靖国参拝や教科書問題。これらの問題を思うとき、日本軍に抵抗する村人たちを素晴らしい映像で描く『紅いコーリャン』を含め、例えば映画を通しわれわれがさまざまな中国の人々の姿に触れていくということも、決して無駄なことではないのではないか。迂遠な方法かもしれないけれど、ごく普通の市民レベルでの、相互理解への第一歩がそこにあると思うのです。■清朝中国と英国のアヘン戦争から辛亥革命、日中戦争を経て中華人民共和国建国、文革、そして現代中国の生々しい姿。中国の歴史、国のかたち、そこに生きる人々。さまざまな中国をその目ではっきりと触れてみてください。

— 矢田庸一郎


《新“名画座”》へのチャレンジ

2001/07/21 — 第24号

◆昨年平成12年12月12日に新築オープンした新文芸坐は、経営者が変わっても旧文芸坐の精神を引き継いで“良質の映画”を“低料金で”“数多く”観せる興行を行ってきました。◆新文芸坐の基本姿勢は、《21世紀へ、新“名画座”の創造》をテーマとして3項目の目標を設定し、その中に『さまざまな可能性にチャレンジしよう』という項目があり、『洋画、邦画、新作、旧作の垣根を越え、さまざまな映画を上映する』という行動指針があります。◆柿落とし以来、番組の決まっている8月末日までの約9ヶ月間で335タイトルの映画を上映いたしました。ロードショー(=RS)終了直後の作品を上映したことはありますが、RS、封切り作品の上映はありません。すべて評価、内容の判っている旧作映画です。◆新作の上映に踏み切れなかったのは、配給会社から入場料金を他のRS、封切り館と同一の1,800円にすることが条件にあったからです。この世界一高いと言われる入場料金をお客さまからいただくのに抵抗がありました。◆現状の入場料金が不当に高く、割引システムに疑念を抱く配給会社もあります。その配給会社が〈ベストプライス〉として当映画館と同じ一般入場料金1,300円で新作を公開したいと提案してきました。◆新文芸坐は、《新“名画座”》を構築するチャンスと考えて新作上映にチャレンジしてみることにいたしました。上映作品は極端に少なくなりますが、後世に語り継がれる“良質の”映画に真っ先に巡り会えることをお客さまと共に期待したいと思います。◆第一弾は、10月上旬公開予定の人気タレント米倉涼子初主演の『ダンボールハウスガール』(監督は『人でなしの恋』の松浦雅子)です。ご期待下さい。

— 永田稔


英国ワーキング・クラスの親父たち

2001/07/01 — 第23号

9/1(土)〜7(金)は「リトル・ダンサー」と「シーズンチケット」、英国ワーキング・クラス(労働者階級)の少年を主人公にした笑いと涙の2本立です。◆「リトル・ダンサー」はダンサーを目指す少年の姿を描いた、S・ダルドリー監督の長編デビュー作。価値観の古い炭鉱の男を父親にもつ少年が父との葛藤の中で自分の夢を実現しようとする物語は、昨年公開「遠い空の向こうに」を思い起こさせる(どちらも傑作です)。父親は息子に立ちはだかる壁として登場するが、同時に息子への愛情も大きい。この愛情ゆえにとる父親の行動が泣かせるのだけれど、予告編にもあるスト破りのくだりは何度見ても胸が熱くなる。この映画、2度3度と繰り返し観る人も多いと聞くが、うなずけますなぁ。初見の方もリピーターの方も、どうぞご覧ください。◆「シーズンチケット」は「ブラス」のM・ハーマン監督最新作で、サッカーチーム“ニューカッスル・ユナイテッド”のシーズンチケットを手に入れるために奮闘する少年2人の物語。“遠い昔、父親と出かけたあの日のようにまたサッカーを観にいくんだ……”という想いを教室で語る場面は、ケン・ローチ監督の「ケス」を思い起こさせる(どちらも傑作です)、泣けるシーンなのです。そうなると当然この映画でも“父親”がキーワードになってくるのですが、こっちはただの暴力オヤジ。で、この映画“父親”をとんでもない方法で料理してやや強引ともいえるハッピーエンドを迎えます。どう料理するかは観てのお楽しみ。

— 関口芳雄


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