まんすりいコラム:2002年

完璧な“恐怖”、完璧な“映画”

2002/03/16 — 第40号

■4月20日(土)から1週間、『ジーパーズ・クリーパーズ』と共に上映するのは、日本中に“貞子”というトラウマを植え付けた原作・鈴木光司、監督・中田秀夫の『リング』コンビによる『仄暗い水の底から』。■古マンションに引越してきた母子が遭遇する怪現象…と書いただけで、「低俗なホラー!」と糾弾する声が聞こえてきそうだが、ここで断言しましょう。この作品を手抜きなしの娯楽作品とした中田監督の恐怖演出は、もはや世界のトップレベルだ!(『リング』の米国リメイク版は本家を超えようと熟考を重ね完成間近)。■中田演出はあくまでベタ。王道中の王道。だからコワイ。『女優霊』から進化してきた“見せない怖さ”と“見せる怖さ”のバランス感覚はこの作品で頂点に達した模様。それは、出ずっぱりの黒木瞳に感情移入すればするほど恐怖と焦りを増幅させる。この手際が実に見事なのです。■サスペンスやドキュメンタリーも撮れることは実証されている監督が、あえてイベント臭のする“ホラー映画”を撮る。そしてそれを完璧に近い形で完成させる。この心意気、どこかかつての名匠達が、プログラムピクチャーで傑作を連発した図式を彷彿とさせます。■『仄暗い水の底から』は完全なホラー映画。そして演技・撮影・美術・音楽まで、職人がこだわりぬいた完璧な映画。だから私は胸を張って、かつ大きな声でお薦めするのです。“映画”ファン必見!

— 花俟良王


フランシス・フォード・コッポラが製作総指揮しているっ!

2002/03/01 — 第39号

◆4/20(土)から上映の『仄暗い水の底から』と『ジーパーズ・クリーパーズ』。今回は「ジーパーズ…」のご紹介。◆“アメリカの田舎”と聞いて映画ファンが連想するのはやはり“殺人鬼”。この映画、23年に一度大量の行方不明者が続出するという、田舎の"都市伝説”が物語の発端です。わが国の都市伝説といえば、“口裂け女”や“人面犬”、最近では米同時多発テロと絡めたイスラム人ネタなどが有名です。“口裂け女”にいたっては単なる噂にとどまらず、一部の小学校で集団下校が実施されるなど実害(?)もあったと聞きます。いや、これも都市伝説かも。◆物語前半はスピルバーグの『激突』を思わせる展開で、好奇心ゆえに主人公たちが禍へと近づく様に手に汗にぎります。この前半は、観た人の98%が面白いと回答したという調査結果が出ています(当社調べ)。……さあ後半。前半とはガラッと変わる展開で、これは評価の分かれるところです。しかし私は面白かった。2本立て観てるみたいで。とくにアレの初登場シーンでは「コイツが○○○○か! こりゃ手強そうだぁ」と身を乗り出しましたね。◆本作のウリは上記タイトルにあるとおりです。監督のヴィクター・サルヴァは佳作『パウダー』が一部に高評価されていたとはいえ知名度低し。役者も無名。が、観れば面白そう。こういう映画に1800円払うのはギャンブルだと思う方。1300円2本立ての当館で観ることを、強く、強く、オススメします。

— 関口芳雄


魅惑のシネマクラシックス inspired by 山田宏一著「新編美女と犯罪」

2002/02/16 — 第38号

わが心の美女、宮城千賀子が忘れがたい男装の犯罪的ヒロインを演じた時代劇の未完の傑作『神変美女峠』(1951)に語呂を合わせたつもりの拙著「新編美女と犯罪」なのだが、じつは『神変美女峠』は前編にすぎず、別の女優で後編『又四郎笠』が同じ年につくられていたことを識者から教えていただいた。恥ずかしながら、惚れた女優にのみうつつをぬかして、後編があるとはゆめにも思わなかったのである! 歌の文句ではないけれど、思い違いも恋のうち、か。

「映画とは女と銃だ」とD・W・グリフィスは言った。以来、ときにセックスと血、エロスと戦争、美と暴力、等々と言い換えられつつも、映画史はこのグリフィスの定義とともに歩んできた。私もまた、それを「美女と犯罪」と言い換えてみただけだ─映画芸術の父グリフィスに、そして映画史のすべてに、愛をこめ、心をこめ、敬意を表して。

「女の出ない映画ほど寂しいものはない」とフランソワ・トリュフォーは言った。

「美が、肉体が、涙にうるんだ瞳が、愛する女の柔らかい肌の感触が、映画のすべてなのだ」とジャン・ルノワールは言った。

映画館の闇に入りこみ、スクリーンにうごめく光と影に包まれて、モノクロの、あるいはカラーの、めまいのような映像に魅せられ、上昇と下降と追いつ追われつの夢の無限感に陶酔する幸福は映画ファンならではの特権だろう。だからこそ、乱暴な引用だが、艶なる宴の詩人のメッセージをまねて─来たれ、大いなる魂よ! われはきみをよぶ、きみをまねく。

— 山田宏一(映画評論家)


万国のビックリモンスターが真夜中に大集合の巻

2002/02/01 — 第37号

2/2怪獣映画の代表選手豪華4本立てで幕開けする今月の新文芸坐オールナイト、「万国ビックリモンスター大集合」。2/9はガイナックス(エヴァンゲリオン等)の設立の基盤となったアマチュア集団のDAICON FILM製作の『八岐之大蛇の逆襲』。特撮は平成ガメラシリーズの樋口真嗣。『キングコング』の製作者ラウレンティスにケチがつき長らくお蔵入りだった女版キングコング『クイーン・コング』。こちらはスクリーンからはめったに聞けない広川太一郎のマシンガントークが炸裂する、「超訳日本語バージョン」による上映です。韓=米合作による巨費を投じた韓国版ゴジラ『怪獣大決戦ヤンガリー』は韓国での一般公開後、約3億円も掛けて特撮シーンを作り直したというインターナショナル・バージョンです。2/16は本田博太郎の熱演が光る東映超大作『北京原人 Who are you?』。CGマンモスがグニャグニャと草原を駆け抜けます。そして『飛びだす冒険映画 赤影』はTVのダイジェストに3D用に新たに撮影した部分(数分間)を加えた中編です。全体の上映時間の一割にも満たない赤(左)と緑(右)のめがねをかけて見る3Dの効果は少々?(当時の専用めがねを掛けて見ました。当日当館ではめがねをご用意いたしません。)ですが、3D以外のTVダイジェストシーンでも往年の彼らの雄姿を十二分に堪能できます。2/23は怪物と化したコンドームをホモ刑事が追う異色の刑事物『キラー・コンドーム』。クリーチャーデザインは『エイリアン』のH・Rギーガー。巨大化したギリシャ料理ムサカ(ケーキではない)が人類を襲う『アタック・オブ・ザ・ジャイアントケーキ』などなど万国ビックリモンスターが一堂に会します。この機会を是非是非お見逃し無く。

— 梅原浩二


《性と生を見つめる映画集》から

2002/01/16 — 第36号

◆豪華女優を配したオムニバス風の「彼女を見ればわかること」と、映画賞総なめ「オール・アバウト・マイ・マザー」は、どちらも女性ファンに好評を博した作品。けど監督はどちらも男性です。ちなみに「彼女を…」のロドリゴ・ガルシア監督はノーベル賞作家ガルシア=マルケス(映画化作品もあるので映画ファンにおなじみ)の息子だとか。◆ご存知「ロッキー・ホラー・ショー」はカルト的人気を誇る、ロック・ミュージカル。2/5最終回のみパフォーマンス可です(協力:LIP’S)。ただし火気や水鉄砲、お米などの持ち込みはご勘弁を。あっ、網タイツはOKです。◆「司祭」は「トレスポ」前のロバート・カーライルが出演。これは「同級生」との英国映画2本立。やはりこのジャンルに英国は欠かせない。◆数々の映画賞に輝く「ゴッド・アンド・モンスター」(あのクライヴ・バーカー製作総指揮)と、ヴィスコンティの名作「ベニスに死す」の“変奏曲”ともいわれる「ラブ&デス」の2本立。老いと、若い生命力にあふれた美をモチーフにした作品。◆最新作「ハッシュ!」が正式公開を待たずにキネ旬ベストテン第2位に選出された橋口亮輔監督の「渚のシンドバッド」と「二十才の微熱」。「渚の…」ではCDデビュー前の浜崎あゆみが出演、印象に残る演技を見せている。橋口監督の劇場用作品はこれ2本だけなので、未見の人はぜひこの機会にフィルモグラフィを制覇してしまおう!

— 関口芳雄


謹賀新年

2002/01/01 — 第35号

新年あけましておめでとうございます。

映画を通して、お客様の心身のリフレッシュと明日への仕事の糧となることを念願し、上映作品、イベントなどから数多くの感動、刺激、安らぎの番組を提供できるよう努力していきたいと考えています。

今年もスタッフ一同、元気で、明るく、笑顔でお待ちいたしておりますので、友人、知人、ご家族お誘いあわせのうえご来場くださいますようよろしくお願い申し上げます。

2002年1月1日

— スタッフ一同


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