まんすりいコラム:2005年

お知らせとお願い

2005/03/16 — 第112号

【入場料金1500円興行について】 今年は戦後60年、[還暦]の節目の年に当たります。新文芸坐では、映画を通して戦後を振り返る企画を考えています。第1弾として、日本映画を広く世界に認知させ、《世界の巨匠・クロサワ》と尊敬される黒澤明監督作品の特集上映が最も相応しいと考えました。3月26日より3週間にわたり『夢』以外の全作品を上映いたします。過去の黒澤作品特集上映と同様、今回も入場料金1500円が上映条件の一つです。何卒ご了承下さい。4月16日より通常料金に戻ります。

【情報誌割引料金の廃止について】 当館指定の情報誌を持参のお客様に対して、通常料金から100円を割引する便宜を図ってきました。しかし、この割引制度を利用するお客様は、僅か1〜2%に過ぎません。多くのお客様が「友の会」や特集番組で販売する「割引回数券」を利用しているからと考えられます。3/26(土)より[オールナイトは4/2(土)より]割引制度は廃止いたします。ご了承ください。

【「新文芸坐友の会」入会のお勧め】 会員になると1000円でご入場できます。毎日が映画の日、ファン感謝デー、レディスデー料金で観られ、入場する度にポイントが加算され、招待券が獲得できるお得なシステムになっています。また、1年間DMでスケジュールをお知らせいたします。黒澤明監督特集の時も会員は1000円でご覧になれますので、この機会に是非ご入会くださいますようお勧めいたします。

— 永田稔


古典の定石

2005/03/01 — 第111号

古典的な音楽理論に、連続5度、連続8度といった禁則がある。詳しい説明は省くが、要するに「響きが目立ちすぎて浮いてしまうからダメッ!」という和音進行なのだ。クラシック音楽ではバロック・古典派と、このルールは概ね守られてきた。ところがドビュッシーやラヴェルあたりになると、連続5度が平然と使われている。そしてこれらの音楽を聴いてみると、その響きには多少の違和感と同時にことばでは言い表せない気持ち良さがある。連続5度、全然オッケーなのだ。これは定石を破ってこそ得られる成果の一例。◆古典的な推理小説の掟として有名な、ノックスの十戒というものをご存知だろうか? ミステリー作家がやってはいけない10の戒めなのだが、例えばその第1項に「犯人は物語の初期の段階で登場している人物でなければならない」というものがある。これはもっともで、昨年映画化された「○○」という小説はこの掟に従っていないが故にミステリーとしては面白くなかったし、映画も同様だった。その点、昨年のキネ旬ベストワン某外国映画はシッカリ掟を守っており、そのせいでドラマとしてのみならず謎解き部分も堪能できた映画だった。◆しかし、より刺激を求めるファンがいつまでもノックスの十戒を奉っているわけがない。そんなニーズもあり、近年は反則ギリギリのミステリー(スリラー)映画が多く作られている。私も好きな作品が多い。しかし掟破りの方法もマンネリ化して亜流の亜流も増えてくると驚きも半減。基本を押さえたストレートな謎解き映画が恋しくなるというものだ。そこで「ソウ」(3/12〜18)である。刺激的な描写もありキワモノ扱いされがちだが、ノックスの十戒に抵触する箇所も見当たらない、実にオーソドックスなスリラーだ。騙される快感を味わいたい方、是非ご覧ください。

— 関口芳雄


「気になる日本映画達2004」ラインナップ決定!

2005/02/16 — 第110号

そろそろ梅の花が見ごろの季節。春は確実に近づいていますね。●当館の春の名物は、前年の日本映画界を振り返る恒例企画「気になる日本映画達2004」です。今年は2/26(土)より2週間の開催、28作品を上映します。●イチ押しは『世界の中心で、愛をさけぶ』『スウィングガール』の2本立て。“純愛ブーム”に乗って大ヒットの『世界の〜』ですが、見逃している方は是非見てほしい作品です。主人公サクと永遠の恋人アキの悲しい恋の物語。森山未來と長澤まさみの名演に涙が止まりません。『スウィング〜』では肩の力を抜いてクスクス笑いを楽しんで。●サブカル系の貴方には『アイデン&ティティ』『花とアリス』の2本立てを。『アイデン〜』は怪優、田口トモロヲが監督業に初挑戦。ロックバンドの若者たちの姿を描く、おかしくも切ない王道青春映画に仕上がっています。独自の映像美学を貫く岩井俊二監督の新作『花と〜』は、2人の美少女、鈴木杏と蒼井優がカワイイのなんって。伸びやかでしなやかな動きがたまりません。●『リアリズムの宿』『茶の味』も見逃せません。『リアリズム〜』は独特の間と、微妙にズレた演出にしびれます。『茶の味』は、石井克人監督ならではの、斬新かつユーモラスな映像世界がさらなるパワーアップ。『下妻物語』と『茶の味』の土屋アンナを見比べるのも楽しいですよ。●プロレス映画の傑作2本立て『ワイルド・フラワーズ』『MASK DE 41』。新しい女性映画作家の誕生を告げる『犬猫』。伝説的なフォークシンガー高田渡の姿を追う笑劇ドキュメンタリー『タカダワタル的』。世界の巨匠、侯孝賢の新作『珈琲時光』が日本映画特集で見られるというのも、なんとなく嬉しい。●日本映画の、様々な豊かな表情を楽しむことのできる特集です。乞うご期待。

— 矢田庸一郎


動き出した日本映画

2005/02/01 — 第109号

1月4日の朝日新聞社説に“さあ日本映画の逆襲だ”の見出しの記事が掲載されていた。『最近、国が国外への映画の売込みを後押しするようになり、地方でもロケを誘致、手助けするフィルムコミッションが広がり、また、韓国映画に刺激されて「血と骨」「パッチギ!」の在日映画が話題を呼ぶなど、ハリウッド、韓国に押されている日本映画が、アジア映画として逆襲を始めている』という趣旨である。◆それを裏付ける記事が、同時期の同紙の文化欄に載っていた。02年の小泉首相の施政方針演説の[知的財産立国]宣言に基づき、政府は科学分野の特許などとともに、映画などのソフトを知的財産の柱に位置づけ、《知的財産戦略本部》を作った。経団連は、映画などのソフトの競争力を上げるために、この3月にNPO法人《映像産業振興機構》を発足させる。◆民間企業も、角川出版事業振興基金信託が主催する《日本エンジェル大賞》では、新進プロデューサーの企画を、映画の形になるまで支援したり、キネマ旬報映画総合研究所と経済産業省は、プロデューサー養成講座を開いたり、既存の大学も、現役で活躍中の映画監督、プロデューサー、漫画家、映画関係者を教授に据えて、映画にかかわる人材の育成に乗り出した。◆日本映画は、年間300本弱が公開されているが、一握りの作品以外は採算が合わない現状を、健全ビジネスに転換させようとして、官・民・学が夫々に一斉に動き始めた。国境が低くなる新しい時代に、日本映画が世界各国の映画館で上映されるのも夢ではない。まず、私たちが、日本映画から沢山の感動を得られる年になることを期待したい。

— 永田稔


「モダニスト増村保造」

2005/01/16 — 第108号

傑作『巨人と玩具』は(当館で2月6日上映)、旧来の叙情的な日本映画に対しクールでスピーディー且つ、膨大な情報量を詰め込んだ演出で、キネ旬ベストテンにも選出された作品でしたが、興行的にはそれほど振るわず、「オレは十年早過ぎた」というのが増村の口癖だったそうです。実際、後年には常に彼の代表作の一本に数えられますし、戦後のモダニズムという言葉は、このダイナミックな映画にこそ似つかわしいように思います。

しかし、一般に彼の代表作に選ばれる他の作品は、むしろ若尾文子の主演作品に見られるような「情念たっぷり」型の題材の物が多いようです。前述の映画のイメージとは世界が異なるようですが、一貫しているのは「個」の存在とその主張です。難解なストーリーなど無い彼の映画は、見ている最中は強固な演出力も相まってその世界に入って行くことができます。しかし鑑賞後改めて思い返すと、登場人物の愚直ともいえる不自然なまでの一途さ、己の信念に基づく温度の高すぎる生き様、こういった印象ばかりが残り、それが異様にすら感じられることがあります。「イタリア留学でヨーロッパ的人間観を形成した」というのが、それらに対する回答の一つとしてありますが、果たしてそれだけでしょうか?

ひたすら己の発するベクトルに突き進む増村、このことをして彼を「モダニスト」と言わしめているのですが、その異様さには、それをはみ出す違う何かを感じずにはいられません。

— 梅原浩二


あけましておめでとうございます

2005/01/01 — 第107号

旧年中は、ご愛顧いただき心より御礼申し上げます

本年も、映画を通して皆様が心豊かに過ごせるような番組を提供していきたいと考えております。どうぞ宜しくお願い申し上げます。

2005年1月1日

新文芸坐

支配人 永田稔
関口芳雄 矢田庸一郎 梅原浩二 花俟良王 後藤佑輔 柳原弘
佐野久仁子 高橋悦子 西本布美子 小形雅子 浅香ノリ

— スタッフ一同


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