まんすりいコラム:2009年

CG映画雑感

2009/06/01 — 第202号

CG映画の先駆け、金字塔となった1982年のSF映画『トロン』。主人公がコンピューターの中の世界に迷い込むのですが、シンプルかつグラフィカルなコンピューターの世界は、当時のCG技術の限界を考慮した上で、最大限の効果を見せるようシド・ミードによりデザインされました。当時生物や自然現象など複雑なものを描くのはほぼ困難(かつこの映画では不要)なのであのようなデザインとなったのですが、引き算の美学を有し、いまやクラシカルな趣さえ感じられます。●最新のCGの成果『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』ではブラッド・ピットの容姿を老人から若者まで変化させました。世代ごとに首から下を別の役者に演技させ、後でブラッド・ピットの顔にすげ替えていました。といっても彼の顔を元にしたCGの顔。ついにCGが生身の人間の役にとって替わるようになりました。が、製作には様々な表情、角度から撮影された膨大な量のブラッド・ピットの情報を使い、更にコンピューターに作らせた動きのままだと不自然な為、アニメーターが自然に見えるよう瞼や顔の筋肉の動きにかなり手を入れているようで、「生身の人間がCGに置き換わる」なんてことはそう簡単にはいかないようです。しかし「不気味の谷」(酷似してくるとちょっとした違いにより不気味に感じる現象)を乗り越えた初の映画として記憶されることでしょう。(別撮りした顔をそのまま使えないのは現場のカメラも胴体の役者も常に動いているため)●さて『トロン』の続編『TRON2.0』の製作が発表されました。CG技術は82年の当時から随分遠くに来てしまいましたが、前作のシド・ミードデザインの「味」がなくならないことを切に祈ります。

— 梅原浩二


新文芸坐友の会のススメ

2009/05/01 — 第201号

“新文芸坐友の会”の入会金2000円、これは高いのか、安いのか? を考えて見ましょう。

一般と友の会で、それぞれn回ご来場した場合の合計金額を式で表します。一般の方は、毎回1300円の入場料で、1300×n円。友の会に入会すると、入会金2000円で招待券1枚プレゼント、2回目以降は1000円なので、2000+1000×(n-1)円です。
そして 1300×n > 2000+1000×(n-1)の不等式を解いてみればわかりますが、
n>3.33・・・ つまり4回以上のご来場で、友の会がお得ということになります。年に4回以上ご来場されるなら、入会金は安いというのが結論です。

当館では5/4(月)より「名匠 小津安二郎」特集を上映いたします。この特集は特別料金で、一般の方は1500円となりますが、友の会料金は据え置きです。この条件で上記と同様の不等式を解くと、2回で同じ、3回目からは友の会の方がお得ということがわかります。

シニアの方はもともと入場料が1000円ですので、入会しても入場料は同じです。しかし入場ポイントが10ポイントで1回無料入場できますので、シニアなら12回が損得の分岐点です。また新文芸坐は上映作品が多く、個々の上映日がとても短いので、どうしてもインターネット等で今後のスケジュールを知っておかないと不便です。日替わり番組を新聞で当日に知っても遅いとうい方、インターネットが苦手な方こそ、友の会にご入会ください。ご希望の方にはスケジュールを毎月郵送しております。

お得な新文芸坐友の会に、ぜひご入会ください。友の会の詳細はご案内チラシをご覧になるか、スタッフにお問い合わせください。

— スタッフ


チケット完売の前に

2009/04/01 — 第200号

情報格差ということばがあります。持っている情報量の多寡によって生じる“情報強者”と“情報弱者”の間の格差のことです。現状では、インターネットをはじめとするデジタル情報機器を使いこなせているか否かで決まる部分が多いようです。私はといえば、一応インターネットは使える環境は持っていますが、生来が不精気質で、決して情報強者とはいえない状況です。■ところで映画ファンの皆さんはどこで映画情報を得ているのでしょうか? 新文芸坐で働いている私個人の見解ですが、インターネットを使わないという人は意外に多いと感じています。当館は高齢者のファンが多いので仕方ないかもしれません。しかし電話で上映時間の問合せをされるお客様も多く、そのほとんどはおそらくネットユーザーではないでしょう。■しかしインターネットなんか使わなくても、映画の情報はいくらだって手に入ります。皆さんが今読んでいる“しねまんすりい”をはじめとしたフライヤー(チラシなど)や、映画情報誌、電話など、他にも手段はあるわけです。媒体が何かは重要ではない。マメなチェックと映画愛さえあれば、重要な映画情報を見落とす心配はないのです。■ところで毎年GW恒例の「ロード・オブ・ザ・リング」三部作一挙上映、今年は5/2(土)夜と5/3(日)昼の2回上映です。この三部作一挙上映はとても好評で、過去に前売で全席完売したこともあります。遅れて上映を知ったお客様からの問合せに“売り切れです”というのが辛かったものです。もし皆様の周りに“去年はチケット完売であきらめた”という方がいたら(いるはずです!)、どうぞ早めに教えてあげてください。前売は3/18(水)発売、全席指定です。

— 関口芳雄


大相撲初場所雑感

2009/03/01 — 第199号

大相撲は、長い歴史を持つ伝統文化を継承しているスポーツであるので、最高位の横綱の行動、言動は、伝統と慣習に基づくことが求められる。今年の初場所は、過去に横綱として品格を問われていた朝青龍が、三場所振りに出場するということで話題になった。場所前のマスコミの論調は、「体調、稽古不足で勝てないだろう」、「黒星が先行するなら序盤にも引退することだろう」と、断定的な記事で占められていた。◆そんな状況の中で初日には、朝青龍の負ける瞬間を見届けるためと、「朝青龍ガンバレコール」の同情的な声援を送るファンが、国技館に足を運び、テレビのチャンネルを合わせた。100年に1度の世界同時不況の世間がウソのように連日満員御礼の垂れ幕が下がり、視聴率は上った。◆しかし、朝青龍は前評判に反して勝ち続けたため、ファンはその強さに対して一転してブーイングを起こし始めた。一方、それまで品行方正で朝青龍の陰に隠れて目立たなかったもう一人の横綱白鵬に対する声援が、日に日に大きくなり千秋楽には「白鵬コール」が場内に轟いていた。15日の短期間の内にファンの声援が、序盤は朝青龍へ、終盤は白鵬へと劇的に変わっていった。興行者としては、初場所のお客様の変わり身の素早さを記憶に留めておきたいと思う。◆初場所の興行の成功は、白鵬と朝青龍の横綱2枚看板が揃って千秋楽まで競い合ったことであるが、個性豊かなキャラクターを持ち、実力を兼ね備え、敵役・悪役の役割を担った朝青龍の存在がより大きいと思う。映画の場合のキャスティングでは主役も大切であるが、敵役・悪役・脇役に確かな役者が配役できれば、観客の満足する作品が生まれ、興行的にも成功することを暗示している初場所であった。

— 永田稔


金融危機とアメリカ映画

2009/02/01 — 第198号

アメリカ映画の低調ぶりは日本での「入り」の悪さに限らないようです。高騰しすぎたスターのギャラ、ヒット狙いの為に無駄に大作を装いCGなどで高騰する制作費。二番煎じのシリーズ物やリメイクの乱用、リスクを恐れ毎度同じ俳優ばかりを使い若手を育てることを怠ったことなど、観客に飽きられ、自らの首を絞めるようなことを続けてきた結果ですが、金融危機のせいでさらに冷え込む恐れがあります。勿論アメリカにはこれを機に「低予算でもいいものを作る」という状況に変化していくぐらいの逞しさはあるはずなので、今後に期待が持てることでしょう。●ただ個人的には特撮とか大作とかも嫌いではないので、そういう映画が減ってしまうのは残念です。しかしもっと問題なのは現在大作とされる映画のCGでも技術的に飽和状態のような感があることです。何を見ても「まぁCGならこれくらいの映像が作れるのだろうな」で終わってしまいます。見慣れすぎているせいもありますが、技術的な問題が大きいように思います。技術にはどういう画で何を見せるか(あるいは見せないか)という映画を作る上での技術(演出)と、ハードやソフトなどの純粋な技術の二つがあります。前者は「腕」や「工夫」で乗り越えられる技術ですが、後者は金をかけた大作でも「他と似たような画(質感や動き等)」を見せられてしまう状況なので、本当に「技術的」なブレイクスルーがないと駄目なような気がします。●無論改善されていく事だとは思いますが、ハリウッドではブレイクスルーは3Dだと思っているようなので、私の思惑とは違う方向へ向かいつつあるような気も・・・・・・。ここはやはり脚本や役者の魅力で魅せる低予算の映画に期待、ということでしょうか。

— 梅原浩二


あけましておめでとうございます

2009/01/01 — 第197号

旧年中は、ご愛顧いただき心より御礼申し上げます。

本年も、〈感動はスクリーンから〉をモットーに、皆様が映画を通して感動、興奮するような、心豊かになる番組を提供していきたいと考えております。

どうぞ宜しくお願い申し上げます。

2009年1月1日

新文芸坐
矢田庸一郎 関口芳雄 永田稔
梅原浩二 花俟良王 後藤佑輔 菊地壮馬 柳原弘
佐野久仁子 高橋悦子 高橋夏枝 釘宮あかね 金井綾子

— スタッフ一同


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