まんすりいコラム:2010年

“7のチカラ”キャンペーンと黒澤明特集を機会にお得な新文芸坐友の会にご入会ください!

2010/07/01 — 第215号

新文芸坐友の会は入会金2000円で1年間有効の会員制割引システムです。

★新規入会時に、ご招待券を1枚プレゼント
★入場料の割引 《通常》1300円→1000円 《黒澤明特集》1500円→1000円 など
★有料入場時に入場ポイントがついて、10ポイントで昼の通常番組に1回ご招待

以上が主な特典です。(詳細は受付の入会案内をご覧ください)

“新文芸坐友の会への入会は、損か得か?”と迷っておられる皆様には、昨年のしねまんすりい5月号にも書きましたが、もう一度結論だけ申し上げます。友の会の有効期間=1年間に、一般の方なら4回、シニアの方は12回が損得分岐点です。それ以上ご来場する方なら、入会したほうがお得です。とくに特集「巨匠・黒澤明」は当日料金が1500円のところを友の会料金は据え置きの1000円ですので、1回あたり500円もお得になります。2回のご来場で、入会金の元はとれてしまいます。なお、諸事情により黒澤明特集では前売券・回数券の販売はございません。

このように新文芸坐友の会は大変お得な割引システムです。実を申せば、当館のご来場のお客様は、一般の方よりも友の会会員のお客様のほうが圧倒的に多いのです。当館で一般料金でご入場されているお客様は、上記の損得分岐点をご覧になって、どうすれば安く映画を観られるかの参考にしてください。

— スタッフ


北欧産ミステリーのヒロイン

2010/06/01 — 第214号

当館で6/20(日)〜22(火)に上映する『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』は、北欧の孤島で発生したひとりの少女の失踪事件を追う、元雑誌編集長と背中にドラゴンのタトゥーを入れた女ハッカーの活躍を描いたミステリーです。ある富豪が姪の失踪事件の調査を依頼するのですが、依頼されたのは犯罪捜査の素人で、しかもその失踪事件というのは40年も前のこと。これ、どうやって調査するんだろうと思っていたら、タイトルロールのヒロインが助っ人として加わるや、遠い過去の事件の真相をどんどん暴き出していくのです。■この映画の鑑賞中に、つい別の映画のことを思い出してしまいました。ひとつは『ブレードランナー』。一枚の写真に写った部屋の風景を何やら不思議なハイテク機器で解析すると、ものかげに隠れて写っていないものまで見えてくる……っていうアレです。『ミレニアム…』はSFじゃないので、ここまでありえない反則技は使いませんが、これに近い鋭い観察眼がでてきます。驚かされます。もうひとつは『シャイニング』。スキャットマン・クローザース演じる黒人調理人の「何かあるとその痕跡が残るものだ。しかし誰にでも見えるということではない」という台詞です。この女ハッカーと元編集長コンビは、“現在”の中にある“過去”の痕跡を何ひとつ見逃さないのですよ。驚かされます。■スティーグ・ラーソンの原作は、本国スウェーデンを始め、日本でも「文春ミステリー」1位、「このミステリーがすごい!」2位など、ミステリー小説賞をいくつも受賞した大ベストセラー。この「ミレニアム」三部作が処女作にして遺作ということになります。映画も第二部・三部の公開が決まっていますので、第一部は新文芸坐で観ておきましょう。

— 関口芳雄


まつりだ! まつりだ! 鈴木則文映画まつり

2010/05/01 — 第213号

5月も新文芸坐は特集盛りだくさんでお送りいたします。5月15日からはいよいよ皆さんお待ちかねの〈鈴木則文映画まつり〉の開催です。監督デビュー作『大阪ど根性物語 どえらい奴』(追悼・藤田まこと)をはじめ、『兄弟仁義 逆縁の杯盃』『シルクハットの大親分』などの任侠ものから『不良姐御伝 猪の鹿お蝶』や『恐怖女子高校』シリーズのピンキー路線、果ては『エロ将軍と二十一人の愛妾』『忍びの卍』のエロ時代劇まで、笑いあり、涙あり、ハレンチありの名作・珍作の数々を上映いたします。「一部で無思想無節操の職人監督の典型との評があるが、それが何よりの褒め言葉」とは監督の言葉ですが、娯楽に徹しながらも学生運動や安保といった反体制の時代を背景に、権力への反骨と批評性をもったアナーキーな作品群は、時代のエネルギーにあふれています。則文映画で暗い世相を吹き飛ばそうではありませんか! そして、鈴木則文監督といえばなんといっても「トラック野郎」シリーズ。本特集は監督が「トラック野郎」の思い出を綴った『トラック野郎風雲録』の出版記念ですが、シリーズ全10本のうち6本を上映いたします。残り4本はどうしたって? ご安心下さい。シリーズ終わりの4本は5月29日のオールナイトにて特別上映いたします。題して<真夜中の鈴木則文映画まつり “トラック野郎”これにて完結>。普段オールナイトをご覧にならない方もこれを機に、ぜひオールナイトにも足をお運び下さい。目指せ「トラック野郎」シリーズコンプリート! なお、特集初日をはじめ、鈴木則文監督ら豪華ゲストによるトークショーも続々決定! 乞うご期待。

— 後藤佑輔


4月は映画作家がいっぱい 新藤兼人、増村保造、シネマクラシックス

2010/04/01 — 第212号

新文芸坐は、今年、映画ファンの皆様に愛されて10周年を迎えます。今年はより一層、本当の映画の感動を愉しんでいただく一年にしたいと思います!●まず4月は独立プロの巨匠・新藤兼人監督特集をお送りいたします。対象に凄絶なる執念で迫る演出や、ロケ現場で最小限のスタッフと経費でギリギリの生活をしながら映画を撮り足していく革新的な映画製作方法などで知られる新藤監督は、今年4月22日に98歳のお誕生日をお迎えになります。数え年では99歳の白寿です。これをお祝いしての新藤監督特集は4月15日初日の2週間上映です。戦争や核の非を常に訴え続けてきた新藤監督の映像世界の意義は、現在においても廃れるどころか、逆に一層高まっています。是非、新藤監督の映画に触れて、様々なことを考える契機にしていただければと思います。●4月29日からのGWの1週間に開催する「シネマクラシックスVol. 11」ではメルヴィル、ルノワール、コクトー、フリッツ・ラング、チャールズ・ロートンといった極めて個性的な映画作家の貴重なフィルム7本を上映します。今回の上映は、映画配給組織が当館での1回ごとの劇場上映権を取得し映画を貸し出すという稀な形での上映です。そのため各作品を2回までしか上映できません。●期間中は朝から夕方までは「鬼才・増村保造と若尾文子」を二本立て。夕方に入れ替えをし「シネマクラシックス」を上映します。こちらは諸事情で各回入替え1本立て1300円となります。当館のスタイルである二本立て上映ができないことを深くお詫び申し上げます。しかし、今後、いつ映画館で見ることができるかわからない貴重なフィルムですので、是非お見逃しなくご覧いただければと思います。

— 矢田庸一郎


さようなら、ビデオポップ

2010/03/01 — 第211号

北区王子にある個人経営の小さなレンタルビデオ店「ビデオポップ」が、この2月で20年の歴史に幕を下ろした。私の学生時代、フリーター時代のアルバイト先であり、何度か就職に失敗した時もその都度世話になり、映画まみれにしてくれた。思い出を語ればきりがないので止めておくが、販売用DVDが安価で売られ、大手チェーンが席巻する市場でよくぞ今まで地元の映画ファンのために頑張ってくれたと拍手を贈りたい。■旧文芸坐出身者でもある店主の分け隔てない映画愛と気さくな人柄で、店内は常に映画、音楽、演劇などの道を歩もうとする人間のサロンと化していた。ある世代が土地を離れれば、必ず次の世代の似たような人間が集まってきた。今、店主の唯一の心残りは、そのような“場所”がひとつ失われてしまうということだ。■閉店の報せを受けて久しぶりに足繁く通っていると、現在の常連客に当館の利用者が多くいることが判ってきた。映画好きが集まる店なのだから不思議ではないが、かつてのバイト先で現在の職場のお客さんに「頑張ってください」と言われると、感慨深くなるというか、人と時間が作り出した不思議な縁を感じる。そしてその縁に報いるためにも、店主が誇りと共に呟いた“場所”というキーワードを胸に、私が、そして新文芸坐が目指すべき“場所”を模索していこうと思ったりもした。■さて、私は『僕らのミライへ逆回転』のラストシーンのような気の利いたお別れはできなかったけれど、店主はCDに追いやられ20年間自宅で埃をかぶっていたレコードとプレーヤー、そしてアンプを初めて店に持ち込んだ。ざらついた大きな音でジャズが流れる中、懐かしい顔と新しい顔が集い談笑する。まあ、これはこれで画になるラストシーンだな、と微笑ましかった。

— 花俟良王


畏怖する人間/荒戸源次郎

2010/02/01 — 第210号

「鬼のような人ではないか」と、会う前は勝手に想像していた。新作「人間失格」公開記念として「荒戸源次郎映画祭」の開催を、荒戸さんにお願いしに行った時のことである。●荒戸源次郎が最初に注目されたのは鈴木清順の「ツィゴイネルワイゼン」(’80)製作であろう。「殺しの烙印」(’67)を撮った後、日活を解雇され、ほとんど映画を撮れなくなっていた鈴木清順に映画製作の場を与えたのだ。しかもエアドームの特設映画館を作り上映を始めるという画期的な方法を生み出す。「ツィゴイネルワイゼン」は映画賞を総ナメにし遂にはベルリン映画祭で銀熊賞を受賞。華々しい復活を遂げた鈴木清順は、その後も荒戸とのコンビで「陽炎座」(’81)「夢二」(’91)と傑作を世に出す。●「どついたるねん」(’89)で阪本順治を監督デビューさせるなどした後、荒戸の次なる金字塔となったのは「赤目四十八瀧心中未遂」(’03)の監督である。四畳半のアパートで日がな一日、贓物さばきをする青年を中心に、刺青師や娼婦たちが妖しく蠢くアンダーグラウンドな世界を鮮烈に描くこの映画は、1年以上のロングランとなり、またもや映画賞を総ナメ。その年の映画界の話題をさらった。●荒戸源次郎のモットーは「楽しく働き必死で遊ぶ」。川島雄三をこよなく愛し、映画への想いを衒うことなく語る荒戸の目は、鬼とは裏腹の、網を持って夢中に蝶を追いかける少年のようでもあった。映画を撮るということとは、という私の問いに対し、荒戸源次郎は言う。「音が聞こえてくる画、画が見えてくる音を探し続けること」と。●「荒戸源次郎映画祭」は2月21日、日曜日より開催。

— 矢田庸一郎


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