まんすりいコラム:2011年

台風2号のそのわけは

2011/06/16 — 第233号

■私はなんと雨女ならぬ台風女です。思えば子供の頃から家族旅行、修学旅行などいつも台風。でも自分が台風女であることに気づいたのは二十歳を過ぎてから。大学3年生までの夏合宿も毎年台風でしたが、その時はまだ友達と「きっとこの中に台風を呼ぶ人がいるんだね」なんて話していました。けれどその年、私が高校の友達と行った金沢旅行で台風に見舞われ、とうとう自分が「嵐を呼ぶ女」であることに気づいたのでした。■その後も、自分がスタッフをしていた映画『犬猫』の初日には12月にも関わらずやはり台風、そして何年か前に鹿児島に行った時には、4月だったのでさすがに台風はこなかったのですが、なんと桜島が十数年ぶりに噴火!!(楽しみにしたり、気合が入るとそうなってしまうようです)■そしてついこの間の台風2号も実は…。今年の3月30日に15年間飼っていた黒猫のプーが死にました(映画『犬猫』にも登場しています)。そのプーの四十九日の法要(と言っても庭に遺骨を埋めてみんなで飲んだり食べたりするだけ)をちょうどその時に計画していました。プーの物を片付けたり、庭のどこに埋めようかなどひと月も前から考えていたので相当に気合が入っていたのでしょう、5月に日本に台風が接近するのは10年に一度とか。結局延期となりましたが、次回こそは台風が来ないように気をつけたいと思います(笑)。そしてプーちゃんを埋葬した後にはひまわりの種を蒔く予定です。

— 佐野久仁子


落語会、やってます

2011/06/01 — 第232号

皆様ご存知の通り、新文芸坐では月イチで落語会を開催しております。早いもので、次回で22回目を迎えるこの“新文芸坐落語会”は、「映画館という身近な場所で、熟練の話芸を“生”で楽しんでいただきたい」という趣旨で始まりました。■落語会が始まった2009年の9月の当コラムでの「“看板”と言われる人気、実力のある落語家の出演による落語会を開催していきたい」の宣言通り、初回の柳家小三治をはじめ、立川談春、柳亭市馬、三遊亭円楽、柳家三三、等々…大御所から旬の若手まで、強力なラインナップで回を重ねてまいりました。お陰様で、落語に興味はあったが生で見たことがなかったビギナーの方だけでなく、落語通の方にも楽しんでいただいております。■次回の6/22は春風亭昇太と林家たい平の二人会、7/20は柳家喬太郎ら、さん喬一門兄弟会と、当代随一の噺家たちが出演! 是非お越しを! …と言いたい所ですが、人気のこの2公演はこのコラムが載る頃にはチケットの残りがあるかどうか…。しかし、8月は人間国宝・一龍斎貞水による夏の風物詩“怪談噺”、さらに9月は過去にも出演していただいたあの大物噺家がガッテンと再登場!? と、まだまだ魅惑のラインナップが続きます。チケットの購入はお早めに!

— 後藤佑輔


オールナイト番組のようですが昼番組です

2011/05/16 — 第231号

お客様が1本だけ映画を観てお帰りになった。2本立てで上映しているとはいえ、これ自体は特に珍しいことではない。ただそのお客様の言葉が印象的だった。「白黒はつまらないから……」という言葉が。主観の話なので私が云々言うことではないが、名画座で働く者としては取り付く島がなく、辛い言葉だった。■だいぶ前にここで「好きな映画ジャンルはホラーです」と書いて軽くひんしゅくをかったのだが、今もその傾向は変わらない。往年の名匠たちがお決まりのプログラムピクチャーで腕を競ったように、現代のジャンル映画の作り手たちも、決められた枠の中でいかに個性を発揮するか頭を悩ませている。■6/9(木)から、今まで高峰秀子、成瀬巳喜男、原節子と続いた文芸・名画路線を強引に断ち切り<荒唐無稽映画祭>と題した小特集を行う。70年代B級アクションの魂を受け継いでR.ロドリゲスらが映画少年に戻って作った『マチェーテ』、ヒーローものの応用編として笑いと共に世界中の血をたぎらせた『キック・アス』、吸血鬼映画と切ない初恋を絡めた美しき『ぼくのエリ 200歳の少女』、そして究極の定型"ゾンビ映画"を溢れる映画愛で痛快活劇とした『ゾンビランド』(←キネ旬レヴュー全員満点!)という変化球だらけの4作品。■ジャンルに左右されず、"映画"としてご覧いただければきっと満足していただけるはず。そしてこのような映画を愛することも、紛れもない新文芸坐の一面です。冒頭のお客様、こんなのはいかがでしょう?

— 花俟良王


危機管理に落語をお奨めします?

2011/05/01 — 第230号

東日本大震災で被災した皆様に心よりお見舞申し上げます。

今まで経験したことのない大きな揺れに吃驚しました。当日の新文芸坐は、休憩時間中でしたので、お客様はパニックにならず、スタッフの公園に避難する誘導に従い、冷静に行動していただきましたので全員無事でした。その後の発生した津波の威力をTVで見た時に、天災の恐ろしさを改めて知らされました。◆東京電力の福島第一原子力発電所で発生した放射能漏洩事故は、世界中を震撼させたチェルノブイリ事故と同じの「レベル7」という最悪の状況になりました。危機管理の拙さが引き起こした人災です。政府、東電の担当者が言う「想定外のことで」という言葉は、想定外の出来事に対するシミュレーションを描いていなかったと、言い訳をしているのです。想定外のことを考えるのが、危機管理だと思うのですが……。◆新文芸坐では、月1回の落語会を行なっています。切っ掛けは、ドキュメンタリー映画「小三治」を上映するので、小三治師匠に舞台挨拶を打診したら、「落語だったら出演するよ」との返事でしたので、"瓢箪から駒"で小三治師匠を第一回目として、落語会を始めました。落語は、落語家が話す情景を、聞いている観客がイメージすることで、初めて成り立つ芸能ですので、危機管理のシミュレーションを養うことに役に立つこと請負です。◆これからのラインアップは、5/11柳家さん喬、瀧川鯉昇、6/22春風亭昇太、7/20柳家喬太郎、8/23人間国宝・一龍斎貞水、五街道雲助、9/29立川志の輔と、人気・実力を兼ね備えた落語家たちが続々と登場します。是非、ご覧下さい。

— 永田稔


デジタルリマスター

2011/04/16 — 第229号

デジタルリマスター版を謳った映画の上映(またはソフトの販売)が色々と出ています。この言葉、何かとても有難味があるような使われ方がなされていますが、単に新しくHDでテレシネし、多少の調整をしただけのDVDやブルーレイのソフトでも「デジタルリマスター」だと言えますし、「羅生門 デジタル完全版」のように35ミリのフィルムに戻せる解像度で取り込み、1コマずつキズを消し、揺れを直し、コントラストや階調を修正し、さらに音声もノイズの軽減や周波数の調整をする等々・・・実に手間のかかる作業を施したものも同様に「デジタルリマスター」と言います。●確かに後者だと有難味があるのですが、「羅生門」の場合12万6000以上のコマ数を2種類のプリントからそれぞれ良い方を選び上記のような作業を行ない、制作費はなんと6000万円にも達しているそうです。リマスターといっても作業がそれぞれ違い、簡易なものもあれば上記の35ミリのフィルムに戻す前提での作業のように非常にコストがかかるものもあるのです。つまり「デジタルリマスター」を謳ったソフトが存在してもそれが即35ミリの上映用プリントがあるということにはならないのです。●ですので現在邦画では後者の意味でのリマスター版は数本しか有りませんし、基本的にこの作業はパソコンの画面をにらめっこしながら1コマずつ何をどのように修正し又は修正しないか等、その作品や場面を考慮しながらの手作業になるので今後も劇的にコストが下がることは期待できません。しかしながら将来的にはフィルムの保存にも物理的な限界があるので、多くの作品を高解像度でデータ化することを期待したいところです。勿論オリジナルのネガの保存が最重要ですが。

— 梅原浩二


4月は新鮮な映画たち

2011/04/01 — 第228号

最近、新しい映画が少ないとご不満のアナタ、4月はフレッシュな映画がオンパレード。●4月3日からは、スタイリッシュな映像と骨太の演出で知られる巨匠トニー・スコット監督の最新作「アンストッパブル」。貨物列車の運転手の気の緩みで、無人の列車が暴走を始めるというサスペンス・アクション。暴走列車を止めようとする2人の運転手に名優デンゼル・ワシントン&新鋭クリス・パイン。最初は気が合わない2人だったが、やがて心の交流が芽生え始めるというスリルと感動の物語だ。●併映作はブルース・ウィリス、モーガン・フリーマンらが扮する元特殊工作員のお爺さん、お婆さんが大活躍する「RED/レッド」。現役を引退して心静かに余生を送る彼らに突然魔の手が。陰謀の影に古巣CIA。一致団結した彼らは、CIAの小僧っ子たち相手に大暴れ。ユニークなキャラが全開のストーリーに肩肘の力を抜いて楽しめること請け合い。●その後は毎年春恒例、前年の日本映画界の動きを振り返る「気になる日本映画2010」。おススメはオフビートなユーモアが絶品の「川の底からこんにちは」。2010年主演女優賞はこの映画の満島ひかりで決まり。2010年は行定勲監督が絶好調な年でもありました。「悪人」などで今、最も注目の作家・吉田修一原作の群像劇を見事な手さばきで映画化した「パレード」に、主演男優賞総ナメのトヨエツと薬師丸ひろ子の掛け合いが楽しい涙と笑いの感動ドラマ「今度は愛妻家」。男泣き映画ベストワンは「ボーイズ・オン・ザ・ラン」。泣けて泣けて堪らない二本立ては「半分の月がのぼる空」「おにいちゃんのハナビ」と注目作が目白押しだ!●豊島区は「男女共同参画都市」を宣言して今年で10年。これにちなみ「玄牝」「レオニー」など女性をテーマにした作品もラインナップ。
※4/10、朝から先着200名様に"涼宮"下敷きorメモパッドのプレゼントあり。

— 矢田庸一郎