まんすりいコラム:2013年

3/28より「気になる日本映画達2012 Part 2」を開催

2013/03/15 — 第275号

『桐島、部活やめるってよ』が日本アカデミー賞最優秀作品賞など3冠! には正直ビックリ。「気になる日本映画2012」も旬の日本映画の勢いを感じながらお送りしたが、意外に日本映画、熱いじゃん。●この「Part2」の注目の4作品をご紹介。●『ニッポンの嘘』というタイトルからして何か人を不安にさせるものがある。学生運動、自衛隊、公害などニッポンの真実の姿を撮り続けた報道写真家・福島菊次郎90歳。2011年9月、彼は人生最後の取材場所として福島に向かう。一見、可愛いお爺さんの中には絶えることのない反骨精神がみなぎっている。淡々と語られる戦後史の真相の数々も衝撃的。キネ旬文化映画1位だが「文化映画」という枠をぶち破る感動作なのだ。●併映は『フタバから遠く離れて』。福島県双葉町の住民約1200人は町役場機能とともに遠く離れた埼玉県の高校に避難する。そんな避難住民たちの日常に寄り添った9ヶ月の記録である。テレビや新聞で見聞きしていたものは上っ面に過ぎなかったと思い知らされる。上映日3/28、19:45から両作品の監督のトークショーを開催。●3/30〜4/2はキネ旬1位『かぞくのくに』とキネ旬読者選出1位『鍵泥棒のメソッド』の二本立て。●『かぞくのくに』の監督はドキュメンタリー『ディア・ピョンヤン』などで世界的な評価を受けたヤン・ヨンヒ監督。北朝鮮に移住した彼女の実際の兄が、病気治療のため25年ぶりに来日し家族と過ごした数日間を劇映画として撮った。国境と家族、政治と人の絆など様々なことを考えさせる問題作。3/31、13:35よりヤン・ヨンヒ監督のトークショーを開催。●一方『鍵泥棒〜』は内田けんじ監督ならではの完璧に作り込まれたシナリオと演出が存分に楽しめる。読者選出1位も納得の出来だ。騙される快感に身も心も委ねてみては。

— 矢田庸一郎


故・大島渚監督の新文芸坐への「思い」「願い」

2013/03/01 — 第274号

■世界の映画監督・大島渚が亡くなった。その訃報は、一般社会にも大きな衝撃を与え、世界中の映画人からも悲しみのコメントが送られてきた。■新文芸坐開場の時には、大島監督から次のメッセージが寄せられた。

『日本の夜と霧』(60年)の再上映に始まって、ことあるごとに僕を呼び映画を上映してくれた文芸坐は、日本映画館のなかで一番縁が深かった映画館だ、と言っていい。

ひとつの映画館とこれほど結びつきがあったということは、ひとりの映画人として幸福なことだったと思う。そういう意味で文芸坐はいわば僕の映画の原点であり、また時には、一種、魂のふるさとのようにも感じられたものである。

たんにひとつの映画館というだけでなく、日本映画の礎となって文芸坐は池袋の地にありつづけてほしいと願う。

大島渚

■60年安保闘争を題材にした『日本の夜と霧』は、封切して4日目に起きた浅沼社会党委員長刺殺事件により、突然上映中止になり、大島監督は松竹を退社した。その後、63年に文芸坐で再上映されたことが、大島監督の復活を早める切っ掛けになった。半世紀前の出来事を大島監督が恩義に感じて、文芸坐(新文芸坐)に対する心情が吐露された言葉で光栄に思う。新文芸坐は、世界の映画監督・大島渚の思いと願いを肝に銘じて、邁進していくことを「大喝無量居士」に誓う。合掌。

— 永田稔


長い間お世話になりました

2013/02/15 — 第273号

■突然ですが2月9日(土)の勤務を最後に新文芸坐を退職することになりました。お客様方、そして一緒に働いていたスタッフのみなさんには長い間とてもよくしていただいて本当にありがとうございました。■私が最初に旧・文芸坐に入ったのは1993年の2月(大学を卒業して一年たった23歳の頃!)でした。それから数えると文芸坐に関わって足掛け20年です。93年の入社から97年3月に文芸坐が閉館するまでの4年間をル・ピリエ(文芸坐と文芸坐2の間にあった小劇場です)で過ごし、その後文芸坐が閉館している3年半は別のアルバイトをしていましたが、2000年12月の新文芸坐オープンにあたって永田支配人に声をかけていただき、この新文芸坐のオープンスタッフとして参加することが出来ました。■あの時永田支配人に声をかけてもらって、ここで働けたことを本当に感謝しています。オープンから今日までの12年間、毎日多くのお客様と接する中でたくさんのお話をして、好きな映画を好きなだけ見て、ここ何年かは落語の世界にも触れることができました。趣味と実益を兼ねた、自分にとっては本当にこの上ない職場でした。その職場を去るということは非常に残念ではありますが、明日からはいち文芸坐ファンとして新文芸坐に映画を観に通いたいと思います。■多くのお客様には辞めてからのご報告になってしまい本当に申し訳ありません。今まで本当にありがとうございました。まだしばらくは寒い日が続きそうですので、どうぞお体ご自愛下さいませ。皆様のご健康を心よりお祈りしています。

— 佐野久仁子


若尾文子特集は、日本映画祭か?

2013/02/01 — 第272号

井上ひさしの小説「青葉繁れる」の中で男子高校生が憧れるマドンナは、若尾文子がモデルで井上ひさしも憧れていたという。仙台での高校時代は、無口で暗い地味な存在で、“石仏”と仇名されていた若尾文子が、長谷川一夫の楽屋を訪ねて弟子入りを直訴する大胆な行動をする強い信念をもった美少女であったという。■中学生の頃、地元の三本立て映画館で、中村錦之助主演の「新諸国物語 紅孔雀」を観た時に、併映していた「十代の性典」を観て、若尾文子のファンになってしまった。「十代の性典」は、ポルノまがいのタイトルであるが、過激な場面があるわけでなく、セーラー服姿の丸くポッチャリした若尾文子も好感だが、特徴のある魅力的な“声”に、大人の女を感じた。■「十代の性典」は、三部作になるヒット作品になり、若尾文子は人気スターになったが、“セクシー女優”の評価が不本意で、引退を考えたこともあったという。その後の若尾文子は、天性の美貌と強い信念による女優魂によって、日本映画界を代表する巨匠、名匠監督との出会いにより鍛えられ、可愛がられて大女優に成長した。詳しくは、『女優 若尾文子』(キネマ旬報社刊2940円)をお読みいただきたい。■『女優 若尾文子』は、川本三郎のロングインタビュー、佐藤忠男、上野昂志など当代一流の映画評論家の執筆に若尾文子自薦の作品、アルバム、グラビアなどによって、大女優への軌跡が分かり、映画論、女優論としても永久保存版と言える。■今回の刊行記念の特集上映のラインナップを見て分かる通り、溝口健二、増村保造、小津安二郎、吉村公三郎、川島雄三、山本薩夫、今井正監督など日本映画界を代表する巨匠、名匠監督の作品28本の上映は、日本映画オールタイムベスト作品ばかりである。映画興行としては、若尾文子一女優の特集番組であるが、日本映画祭クラスのグレードの高い番組編成である。

— 永田稔


新文芸坐ベストテン2012投票受付中!

2013/01/16 — 第271号

今年も〈新文芸坐ベストテン〉略して“文テン”の季節がやってまいりました。“文テン”とは、新文芸坐友の会会員の方に前年公開された新作映画から洋画・邦画それぞれベストテンを選出して投票していただき、1位10点……10位1点で集計して作る当館独自のベストテンです。2012年分もすでに何件か投票いただいていますが、いまのところ票はバラついています。洋画では『最強のふたり』『人生の特等席』、邦画では『桐島、部活やめるってよ』『のぼうの城』あたりが目立つところでしょうか。しかし、2010年1位の『告白』『息もできない』、2011年1位の『八日目の蟬』『英国王のスピーチ』などのように頭ひとつ抜ける作品が無く、かなりの混戦が予想されます。つまり、あなたの一票が順位をかなり左右するのです。投票は友の会会員の方限定ですが、今月いっぱい投票用紙及びメールにて受付中。皆様のご投票お待ちしております。■それにしても、投票されたベストテンを見ていると、見逃している作品の多さを思い知らされ、反省することしきりです。特に邦画で『桐島、〜』(混雑で入れなかった)や『黄金を抱いて翔べ』『鍵泥棒のメソッド』などが選ばれているのを見ると、やっぱり観ておけばよかったと後悔しています。このあたりの作品は、前年の日本映画を振り返る新文芸坐春の恒例特集〈気になる日本映画達〉(ラインナップは未定)で挽回したいところです。また、ベストテン作成は去年の手帳を見返しながら、その年観た作品を振り返る良い機会でもあります。個人的に印象に残っているのは『ミッドナイト・イン・パリ』『Pina/ピナ・バウシュ』辺りですが、観た新作の数が絶対的に少ないので、今年こそはもっと新作を観るぞと心に誓ったのでした。

— 後藤佑輔


新年明けましておめでとうございます

2013/01/01 — 第270号

旧年中は、新文芸坐をご愛顧いただきまして、心よりお礼を申し上げます。

本年も、〈感動はスクリーンから〉をモットーに、皆様の人生の糧となるような豊かな番組を提供していきたいと考えております。

どうぞ宜しくお願い申し上げます。

2013年1月1日

新文芸坐
矢田庸一郎 関口芳雄 永田稔
梅原浩二 花俟良王 後藤佑輔 柳原弘 宮路良平
佐野久仁子 釘宮あかね 大内奈々子 小澤麻梨子 森田成美

— スタッフ一同


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