正直、まだ実感できていません。

2020/11/13

あの日のニュースを新文芸坐で最初に知ったのは、図らずも私でした。そのあまりにも唐突な現実感のないニュースに、私と歳の近い同僚たちは言葉を失い、ベテランのスタッフですら驚愕していました。私自身、その突拍子もない事実を認識するのに、ずいぶん時間がかかりました。三浦春馬という人は29歳の私にとって、学生時代を思い返したとき最初に思い浮かぶ俳優です。

彼のことを初めて知ったのは『恋空』でした。私の中高時代はいわゆるケータイ小説ブームの真っ只中で、クラスメイトの、特に女の子たちの間では『恋空』を読んでいる子が多かったです。その映画版が公開されるや、観に行ったという声が教室内に溢れたのを覚えています。私と同年代の人々には、仲良しの友達や、初めてできた恋人と、この映画を観たという方も多いのではないでしょうか。あの頃の憧れそのものが失われてしまったように感じてしまうのも、きっと私だけではないはず。

当館で彼の特集上映が企画されたとき、開催するまでには全スタッフを通し、かなり時間をかけて議論されました。老齢の俳優が亡くなったのとは訳が違うからです。紆余曲折があって開催が決定し、想定を超えるお客様がアクセスされたことでサーバーがパンクし、ご迷惑をおかけしたりもしました。それでも開催後、多くのお客様が口頭やネットで伝えて下さった感謝の言葉の多さに、開催してよかったとスタッフ一同心から思えました。映画館にできることはたしかにあるのだと実感しました。そして、三浦春馬さんがいかに多くの人に愛されていたのか、ということも。

— 浜本栄紀


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