北欧産ミステリーのヒロイン

2010/06/01 — 第214号

当館で6/20(日)〜22(火)に上映する『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』は、北欧の孤島で発生したひとりの少女の失踪事件を追う、元雑誌編集長と背中にドラゴンのタトゥーを入れた女ハッカーの活躍を描いたミステリーです。ある富豪が姪の失踪事件の調査を依頼するのですが、依頼されたのは犯罪捜査の素人で、しかもその失踪事件というのは40年も前のこと。これ、どうやって調査するんだろうと思っていたら、タイトルロールのヒロインが助っ人として加わるや、遠い過去の事件の真相をどんどん暴き出していくのです。■この映画の鑑賞中に、つい別の映画のことを思い出してしまいました。ひとつは『ブレードランナー』。一枚の写真に写った部屋の風景を何やら不思議なハイテク機器で解析すると、ものかげに隠れて写っていないものまで見えてくる……っていうアレです。『ミレニアム…』はSFじゃないので、ここまでありえない反則技は使いませんが、これに近い鋭い観察眼がでてきます。驚かされます。もうひとつは『シャイニング』。スキャットマン・クローザース演じる黒人調理人の「何かあるとその痕跡が残るものだ。しかし誰にでも見えるということではない」という台詞です。この女ハッカーと元編集長コンビは、“現在”の中にある“過去”の痕跡を何ひとつ見逃さないのですよ。驚かされます。■スティーグ・ラーソンの原作は、本国スウェーデンを始め、日本でも「文春ミステリー」1位、「このミステリーがすごい!」2位など、ミステリー小説賞をいくつも受賞した大ベストセラー。この「ミレニアム」三部作が処女作にして遺作ということになります。映画も第二部・三部の公開が決まっていますので、第一部は新文芸坐で観ておきましょう。

— 関口芳雄


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