マキノ雅弘の世界へ、ようこそ

2002/09/16 — 第52号

「いい映画」を見たときには、「映画館を出ると、とたんにみんなに吹聴したくなる。見てない人に早く見せたくなってくる」と、かつて植草甚一さんが書いていた(「いい映画を見に行こう」)。「こんな気持にさせる」「いい映画」とは、「第一に、みんないいツラをしているなあ、という映画に大事な要素が全巻を通して発揮されていること」、そして第二に、「画面内のパルゼーション(胎動)がものをいうこと」が必要にして欠くべからざる絶対条件であり特質なのだと植草さんは定義している。

映画の面白さ、映画を見ることの楽しさが、なんと見事に的確に述べられていることか。第一の「みんないいツラをしているなあ」というのは、スターの、俳優の、人間的なキャラクターの魅力であると同時に、その魅力にひかれ、うっとりし、ときには狂ってしまうファンの心情でもあろう。第二の「パルゼーション(胎動)」とは画面の、スクリーンそのものの魅惑であると同時に、画面を、スクリーンを、見入るファンの心のときめきでもあろう。

マキノ雅弘の映画とは、まさにそういう映画なのだ。肩肘張って見ることを強いられる「作家」の立派な映画ではなく、気軽に見られる、ときにはデタラメなほど奔放でめちゃくちゃなお遊びに流れながらも「気持を舞いあがらせるようなパルゼーション」にあふれた映画なのである。

— 映画評論家 山田宏一


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