スタッフコラム

映画フィルム—日々雑感

2003/01/16 — 第60号

映画のフィルムというのは一般家庭で写真用に使われる物と同じで35mm幅です。実は映画用のフィルムが先にできて後にそれを転用して写真用のフィルムがつくられました。1コマあたりの面積は写真用の約半分になりますが、映画は1秒間24コマ必要なので、長さは2時間の映画で3288m!程にもなります。これでは長すぎる為、ある程度の長さに分割して劇場に送られてきます。最近では音声や特殊効果などでデジタルの恩恵を受けていますが、こと最終的にスクリーンにフィルムを写す段階になると映画誕生以来100年間全く同じ方式なので、これだけの長さになってしまうのです。DLP(デジタル方式の映写機)等の出現により何千mもあるフィルムがなくなり、小さなハードディスクや直接データとして劇場に送られて来るようになりつつあります。キズも退色もないことは歓迎されることですが、画質は超高性能ビデオプロジェクターと言った感じでそこにフィルム特有の質感を見出すことは困難です。CD全盛の時代にアナログレコードのほうが音が良い、などと言われる事がありますが、どちらが良いかはともかく全く違うメディアに同じ音質を望むのは無理なのではと思うことがあります。そう考えるとDLPにフィルムの画を望むのも現在では難しいことなのかもしれません。フィルムは生ものなので時間がたてばキズやゴミも増えますし、色も褪せてきます。しかしフィルムが持つ独特の味わいは代えがたい魅力があり、20世紀につくられた大いなる映画の遺産もほぼすべてフィルムによって撮影されています。それを映画館でフィルムで鑑賞することは近い将来とても贅沢なことになるかもしれません。

— 梅原浩二 検索