スタッフコラム

二本立てのこころ

2003/02/16 — 第62号

二本立て上映を常とする当館には“二本立ての妙”という言葉がある。ロードショーでヒットしなかった映画の二本立てが思いのほか入ったりすると、したり顔で「二本立ての妙だね」というのである。そこで我々は日夜、この二本立ての妙なるものを追い求めるのだが……。●定石は似たもの同士をくっつけること。簡単じゃないかと思われるかもしれないが、配給会社の都合やプリントの空き状況などが絡みなかなか一筋縄じゃない。●ビデオが出てしまった映画は当然やりづらいし、さらに公開後1年以上5年以下ぐらいの娯楽映画というのは、興行的にはかなり難しくなる。ただしもっと古くなると逆に興行力は増すのだが、外国映画の場合は10年ぐらい経つと権利が切れることが多い。●さて、この定石どおりにできた番組が3月にやる『マーサの幸せレシピ』『ディナーラッシュ』である。どちらもレストランを舞台にし、料理を通して語られる味わい深い人間模様の物語だ。●『マーサ〜』のほうはドイツのハンブルクが舞台。人間の絆をしっとり醸し出すタイプの映画だ。ドイツ通によると、イタリア人に憧れながらもストイックに生きるしか術のないドイツ人の愛情表現のし方が、とってもかわいらしいそうだ。う〜ん、なるほど。●『ディナー〜』はニューヨークが舞台だけあってテンポがいい。イタリアン・レストランに、マフィアに警官、別れた恋人たち、料理批評家にウォール街の証券マン、雑学の天才バーテンダーらが入り乱れ、ラストにはちょっとしたどんでん返しも用意する軽快な味わい。●ところがある日、「はまりすぎるのもよくないんだぞ」と、支配人がポツリ。果たして我らが頭上に、二本立ての妙の降臨となるや。

— 矢田庸一郎 検索