スタッフコラム

祝 卒寿記念 銀幕の天才 森繁久彌映画祭

2003/04/01 — 第65号

通信機器をはじめ科学の発達により私たちの生活は、前世紀の数倍の早さで変化し、便利になっています。一方では、バブル崩壊後の社会不況は延々と続き、株価(3/12現在)は20年前に戻ってしまい、閉塞感を抱いたままで日常生活を余儀なくされています。生活が便利になった割には心豊かな気分ではない。◆スローライフの勧めが叫ばれているこんな時代だからこそ観ていただきたいのが4/26からの「祝 卒寿記念 銀幕の天才 森繁久彌映画祭」です。森繁映画の時代は、スタッフ、キャストなど撮影現場が一丸となった手作りで、スクリーンから温もりが伝わってきますので心を癒してくれると思います。◆5月4日に卒寿を迎える森繁は、ご存知の通り平成3年に文化勲章を受章するなど、わが国の文化、芸能の分野における巨人です。「屋根の上のバイオリン弾き」などの演劇俳優として、テレビ、ラジオのタレントとして偉大な存在でありますが、森繁の真骨頂は映画俳優として、名匠が撮った芸術作品、野心作から数多くシリーズ化された喜劇映画など240本に主演、出演した銀幕上での存在感あふれる天才的演技にあるのではないかと思っています。◆この映画祭を企画するにあたり、森繁さんにお目にかかりました。開口一番「オレの映画なんかに客なぞ来ないゾ!」と言いながら結構嬉しそうにしていました。記憶力は確かです。さすがにスクリーンで観せる森繁節といわれるリズミカルな話し方、間に往年の冴えとまではいきませんでしたが、「映画とはデタラメとウソの積み重ねだが、その中に小さな真実を見つけていい映画という」など印象的な話をしてくださいました。◆陽気で軽妙なペーソスあふれる森繁映画で笑って、泣いて、楽しんで心のゆとりを取り戻してください。3月12日現在、ゲストに女優・淡島千景さん、演出家・久世光彦さん、放送作家・高田文夫さん、映画監督・松林宗恵さんが来館する予定です。

— 永田稔 検索