スタッフコラム

「中国映画祭2001」開催!

2001/08/01 — 第25号

当館の前身、文芸坐では1983年から1990年まで毎年秋、徳間書店社長、故徳間康快氏のプロデュースで「中国映画祭」を行なってきました。9月20日はその徳間康快氏の一周忌となります。当館では徳間書店のご協力のもと、日中両国の民間レベルの文化交流に尽くされた氏の志を受け継ぎ、9月15日より「中国映画祭2001」を開催することになりました。■今回の上映作品は26作品。チャン・イーモウ監督の鮮烈デビュー作『紅いコーリャン』に感動ラブストーリー『初恋のきた道』。世界的巨匠チェン・カイコー監督のデビュー作『黄色い大地』。シエ・チン監督作品は、文化大革命を批判し日本でも大ヒットの『芙蓉鎮』に歴史巨編『阿片戦争』。魯迅原作『阿Q正伝』に老舎原作『駱駝の祥子(しゃんつ)』と、盛りだくさんの内容です。さらに今回は中国映画の最も新しい波、いわゆる第六世代と呼ばれる映画作家たちの作品を『ふたりの人魚』など4作品上映します。■ところで日中両国の間に例年になく波紋を投げかけた靖国参拝や教科書問題。これらの問題を思うとき、日本軍に抵抗する村人たちを素晴らしい映像で描く『紅いコーリャン』を含め、例えば映画を通しわれわれがさまざまな中国の人々の姿に触れていくということも、決して無駄なことではないのではないか。迂遠な方法かもしれないけれど、ごく普通の市民レベルでの、相互理解への第一歩がそこにあると思うのです。■清朝中国と英国のアヘン戦争から辛亥革命、日中戦争を経て中華人民共和国建国、文革、そして現代中国の生々しい姿。中国の歴史、国のかたち、そこに生きる人々。さまざまな中国をその目ではっきりと触れてみてください。

— 矢田庸一郎


《新“名画座”》へのチャレンジ

2001/07/21 — 第24号

◆昨年平成12年12月12日に新築オープンした新文芸坐は、経営者が変わっても旧文芸坐の精神を引き継いで“良質の映画”を“低料金で”“数多く”観せる興行を行ってきました。◆新文芸坐の基本姿勢は、《21世紀へ、新“名画座”の創造》をテーマとして3項目の目標を設定し、その中に『さまざまな可能性にチャレンジしよう』という項目があり、『洋画、邦画、新作、旧作の垣根を越え、さまざまな映画を上映する』という行動指針があります。◆柿落とし以来、番組の決まっている8月末日までの約9ヶ月間で335タイトルの映画を上映いたしました。ロードショー(=RS)終了直後の作品を上映したことはありますが、RS、封切り作品の上映はありません。すべて評価、内容の判っている旧作映画です。◆新作の上映に踏み切れなかったのは、配給会社から入場料金を他のRS、封切り館と同一の1,800円にすることが条件にあったからです。この世界一高いと言われる入場料金をお客さまからいただくのに抵抗がありました。◆現状の入場料金が不当に高く、割引システムに疑念を抱く配給会社もあります。その配給会社が〈ベストプライス〉として当映画館と同じ一般入場料金1,300円で新作を公開したいと提案してきました。◆新文芸坐は、《新“名画座”》を構築するチャンスと考えて新作上映にチャレンジしてみることにいたしました。上映作品は極端に少なくなりますが、後世に語り継がれる“良質の”映画に真っ先に巡り会えることをお客さまと共に期待したいと思います。◆第一弾は、10月上旬公開予定の人気タレント米倉涼子初主演の『ダンボールハウスガール』(監督は『人でなしの恋』の松浦雅子)です。ご期待下さい。

— 永田稔


英国ワーキング・クラスの親父たち

2001/07/01 — 第23号

9/1(土)〜7(金)は「リトル・ダンサー」と「シーズンチケット」、英国ワーキング・クラス(労働者階級)の少年を主人公にした笑いと涙の2本立です。◆「リトル・ダンサー」はダンサーを目指す少年の姿を描いた、S・ダルドリー監督の長編デビュー作。価値観の古い炭鉱の男を父親にもつ少年が父との葛藤の中で自分の夢を実現しようとする物語は、昨年公開「遠い空の向こうに」を思い起こさせる(どちらも傑作です)。父親は息子に立ちはだかる壁として登場するが、同時に息子への愛情も大きい。この愛情ゆえにとる父親の行動が泣かせるのだけれど、予告編にもあるスト破りのくだりは何度見ても胸が熱くなる。この映画、2度3度と繰り返し観る人も多いと聞くが、うなずけますなぁ。初見の方もリピーターの方も、どうぞご覧ください。◆「シーズンチケット」は「ブラス」のM・ハーマン監督最新作で、サッカーチーム“ニューカッスル・ユナイテッド”のシーズンチケットを手に入れるために奮闘する少年2人の物語。“遠い昔、父親と出かけたあの日のようにまたサッカーを観にいくんだ……”という想いを教室で語る場面は、ケン・ローチ監督の「ケス」を思い起こさせる(どちらも傑作です)、泣けるシーンなのです。そうなると当然この映画でも“父親”がキーワードになってくるのですが、こっちはただの暴力オヤジ。で、この映画“父親”をとんでもない方法で料理してやや強引ともいえるハッピーエンドを迎えます。どう料理するかは観てのお楽しみ。

— 関口芳雄


そしてデル・トロはスターになった

2001/07/01 — 第22号

文芸坐の8/18(土)〜24(金)は「トラフィック」「誘拐犯」の上映。そう、ベニチオ・デル・トロの2本立です。◆「トラフィック」は監督・脚色・助演男優・編集と、米アカデミー4部門を受賞した話題作です。アメリカ裏社会とメキシコを結ぶコネクション“トラフィック”をめぐる欲望と陰謀に彩られた実態に、果敢に挑んでいく男たちの社会派ドラマ。キャサリン・ゼタ=ジョーンズという花はあるものの、やはりそこは硬派で骨太の男たちの物語。M・ダグラス、D・クエイド、A・フィニー、……。いやあ、オヤジくさい。◆その中にあって注目すべきは、米・英アカデミー賞、ゴールデングローブ賞、ベルリン映画祭、など本作で名だたる男優賞を軒並み受賞しまくりの、デル・トロ。初めての印象は「ユージュアル・サスペクツ」(それ以前の映画では記憶になし)で、たいそう人相の悪い役者だなぁという感想以外はなかったのに、今やアメリカじゃその名を知らぬ人はいない程の映画スター。読めませんでした。◆さて「ユージュアル…」でオスカー受賞の脚本家C・マックァリーが初監督した映画が「誘拐犯」です。主演はデル・トロ。「ユージュアル…」は抜群に面白いサスペンスでしたが、「誘拐犯」は比較的ストレートなアクション。しかしそこは曲者マックァリー。ただのアクションじゃない。徒歩より遅いカーチェイスやビーチフラッグのような銃撃戦。どうです? 超スローなのにスリル満点のカーチェイス、観たいと思うでしょ?

— 関口芳雄


映画館で映画を聞こう! 第二弾

2001/06/21 — 第21号

◆映画をスクリーンから“観る”ばかりでなく、映画にまつわるエピソードや時代背景などを“聞く”ことによって、当時の情景、雰囲気を知ることは、映画をより奥深く楽しむことになると思います。◆映画を“聞く”イベントとして、高田文夫プロデュースによる3月の土曜オールナイトで北野武、沢田研二、大瀧詠一など超豪華なゲストによる《トークショー&ゲストが選んだ映画》を五夜連続して行ない好評でした。◆その第二弾として作家吉川潮プロデュースにより7月14日から三週連続土曜オールナイトで、落語家・林家木久蔵、俳優・石倉三郎小沢昭一がゲストで来場いたします。◆7月28日のゲスト小沢昭一は、映画俳優として『“エロ事師たち”より 人類学入門』で各映画賞の主演男優賞を独占、舞台俳優として紀伊国屋演劇賞を受賞。ラジオでも25年以上続くトーク番組に出演する一方、日本の伝統芸能、民衆芸能研究家として大学の教壇に立ち、その成果をレコードや著書に著すなど長年の幅広い芸能活動の功績により94年紫綬褒章を受章しました。◆映画俳優小沢昭一としては、数多く出演して上映機会の少ないプログラムピクチャーで、自ら命名した〈B級C級映画〉に強い愛着を持っています。『大当り百発百中』は、フィルムがありませんでしたが、こんな機会だからこそ是非上映したいという“小沢昭一的こころ”が日活を動かし、新たに現像して上映可能になった、見逃すことができない珍品であります。◆小沢昭一さんの話も興味津々ですし、木久蔵師匠と“時代劇”、石倉三郎と“健さん”との話も楽しさがいっぱいです。7月の土曜日は、映画を“観”にそして“聞き”に是非ご来場ください。

— 永田稔


推理! スリル! サスペンス! アクション! の巻

2001/06/11 — 第20号

6/12(火)より上映の『サスペンスJ 日本推理サスペンス映画傑作選』、バラエティに富んだ特集後半の番組の紹介をさせていただきます。まず6/24・25は、先日のオールナイト上映でも好評を博し怪優、三國連太郎、伊藤雄之助のコンビも素晴らしい、山本薩夫監督の傑作喜劇『にっぽん泥棒物語』。同時上映は同監督の『証人の椅子』。6/26・27は雪山でのサングラスを掛けた不気味な伊藤久哉と土屋義男の息詰まる対決が見逃せない『黒い画集・ある遭難』。同時上映は同じく松本清張原作『黒い画集・寒流』。6/28・29は鈴木清順監督のリバイバル上映などでさらに注目される宍戸錠、彼の初主演作『ろくでなし稼業』と代表作の一本『拳銃〈コルト〉は俺のパスポート』、どちらもエースのジョーと全盛期の日活アクションをお楽しみいただけます。6/30・7/1は新幹線物の2本立、頭脳派田宮二郎と情念の人近藤正臣の対決、増村保造監督作品『動脈列島』と『スピード』の元ネタとも言われる(?)高倉健ほかの豪華オールスターサスペンス映画『新幹線大爆破』。7/1・2は橋本忍の脚本で小林桂樹が弁護士(それぞれ違う役)を演じる渋いサスペンス『白と黒』と『』。7/4・5は男と女と殺意の話、成瀬作品としては異色のミステリー『女の中にいる他人』とスタイリッシュな市川崑のタッチが冴える十人の女と一人の男の話『黒い十人の女』。是非この機会に新文芸坐の大スクリーンでお見逃しなく御覧下さいませ。

— 梅原浩二


アンケートの結果報告

2001/06/01 — 第19号

◆4月始めに『上映開始後の入場制限、是か非か?』について、お客様にアンケートのご協力をお願いいたしました。その結果をご報告します。

A.上映開始直後からでも入場制限したほうがよい(22.1%)
B.今のままでよい(41.6%)
C.入場制限の開始時間を変えたほうがよい(10.2%、以上73.9%)
D.入場制限はせず、いつでも自由に入場できる(22.1%)
E.その他(入口を限定すれば自由、予告の間は自由、他)(4.0%)

◆上映開始後の入場制限は『やむを得ない』というご意見が3/4近くあり、且つ、現在行なっている《上映開始30分後の入場制限》に賛同者が多数でした。また、アルコール類の販売についてもご意見をお聞きしましたが、販売しないほうがよいというご意見が79.3%ありました。◆多数のお客様は、映画を最初から最後まで誰にも惑わされず、心安らかな気分で、快適に、スクリーンに集中して映画を観る環境を望んでいらっしゃると感じました。◆営業的には、入退場自由にすることにより途中入場のお客様が増え、各種アルコール類を販売することにより売店の売上が上がることが容易に計算できます。◆しかし、《入場制限》《アルコール類販売反対》のお客様のご意見を尊重して、目先の利益追求より“観る環境”を優先することにします。今まで通り《上映開始30分後の入場制限》にさせていただき、《アルコール類》は販売いたしません。◆お客様と共に雰囲気の良い、快適な空間の映画館にしたいと考えています。ご理解とご協力のほどをお願い申し上げます。アンケートにご協力いただき、また貴重なご意見をお寄せくださり誠にありがとうございました。

— 永田稔


見逃し禁止!『回路』vs『ザ・セル』の巻

2001/05/21 — 第18号

制作前から数十カ国の公開オファーを受けるなど世界が待望の黒沢清監督作品『回路』。その『回路』がカンヌ映画祭に出品されるという嬉しいニュースに合せたように当劇場でも5/22(火)より上映。“世界の黒沢”の真価を是非確かめてほしい。■部屋の片隅にあるパソコンが突然動き出し画面に不気味なメッセージと映像を流し出す。それを見た者は部屋を赤いガムテープで封印し自ら命を絶ってしまう。その奇怪な現象に気が付いた人々は必死に逃れる術を探すが、一人、また一人と……。■『回路』は傑作『CURE』同様なぜそのような現象が起こり、それが我々にとってどういう意味を持つかというような説明がほとんどない。しかも黒沢映画の近年の傾向として作品の中に終末観のようなものが漂い、そのためか人間という像がじりじりと“恐怖”に侵食され崩れ落ちていくような哀しみ、または薄気味悪さを強く感じさせる。■『ザ・セル』は意識を失った異常殺人者の深層心理にダイブして事件の謎を解き明かそうとする心理学者の姿を描く物語だが、見応えは異常者の心理世界の映像化。もうめくるめく華麗映像のオンパレード。意外にも異常者の深層心理はとっても美しい(笑)。MTV界の鬼才として知られた監督ターセムは『シックス・センス』のM・ナイト・シャマラン同様インド出身。プエルトリコ人家庭に生まれ育ち今や世界の歌姫、ジェニファー・ロペスが主演し、グラマラスな彼女が身を包む豪華な衣裳の担当はオスカー受賞者・石岡瑛子と、まさに世界の異才が集結した一作でもある。■この二本、まさに見逃し禁止ですゾ!

— 矢田庸一郎


「世界の北野、たけしのBROTHER」の巻

2001/05/11 — 第17号

さる3月17日、新文芸坐にオールナイトの特別ゲストとしてビートたけしさんが来館されました。上演前、映写室の窓からちらりとだけ場内の様子を確認すると言葉少なげに出てゆかれ、とても物静かな印象でしたが、舞台では一転いつもの爆笑トークで満員の場内を沸かせていました。そのビートたけし、いや、北野武監督の最新作が5月8日(火)より上映の『BROTHER』であります。イギリスとの合作、しかもロサンゼルス・ロケ、といういかにも“世界の北野”という感じなのですが、この映画の構想は94年『みんなーやってるか!』の撮影の最中にあり、96年には製作のジェレミー・トーマス(『戦メリ』)と接触をとっていたそうです。ワンテイク主義や派手なカット割をしないなど「ハリウッド的な定番はやらない」という撮影方法は当初、現地のスタッフ、キャストを当惑させたようですが、いつも通りにマイペースで進める様はさすがと言ったところでしょうか。さて内容の方は日本での居場所を失ったやくざの男がアメリカに留学している血のつながらない弟を訪ねて行く所から話が始まります。さあそうなりますとBROTHERとはこの兄弟のお話かとお思いになりますでしょうがそれは見てのお楽しみということで。因みにフランス版のポスターには赤い文字でANIKIと書かれておりました。併映は大島渚特集に続き『愛のコリーダ2000』となっております。

— 梅原浩二


特集「映画監督 大島渚」ひとくちコメント

2001/05/01 — 第16号

愛と希望の街(’59)監督昇進作。予定調和の松竹大船調に反し、二番館で封切り。◆青春残酷物語(’60)第1回日本映画監督協会新人賞受賞。松竹ヌーヴェル・ヴァーグの旗手と謳われる。◆太陽の墓場(’60)大阪のスラム釜ヶ崎を舞台にした鮮烈な群像劇。◆日本の夜と霧(’60)政治的思惑から、封切り4日で上映中止に。松竹退社の契機となった問題作。(再び日の目をみたのは3年後、文芸坐の姉妹館・人世坐での上映だった)◆悦楽(’65)大島主宰の独立プロ“創造社”第一回作品。山田風太郎の原作に政治憤懣を託す。◆日本春歌考(’67)シンガーソングライター・荒木一郎、伊丹一三(後の十三)出演。◆帰って来たヨッパライ(’68)ザ・フォーク・クルセダーズ映画初出演。◆絞死刑(’68)ATG一千万映画第一弾。足立正生が出演。◆少年(’69)盟友・田村孟の傑作シナリオを映画化。カンヌ映画祭監督参加。◆新宿泥棒日記(’69)横尾忠則、唐十郎ほか出演者多彩。◆儀式(’71)ATG創立10周年記念作品、キネマ旬報ベストワン。◆愛の亡霊(’78)東洋人初のカンヌ映画祭監督賞受賞。◆戦場のメリークリスマス(’83)初の海外オールロケ作品。デビッド・ボウイ、ビートたけし、坂本龍一出演。(三上博史が端役で出演)◆御法度(’99)13年ぶりの劇場作品。松田優作の遺児・龍平、崔洋一監督ほか出演者多彩。◆既にロビーでは大島渚ポスター展を開催中。また大島渚監督の前書き、『儀式』『戦メリ』の解説を収録した新文芸坐オープニング・プログラムを現在も好評発売中。尚、5月8日からは引き続き『愛のコリーダ』を上映。(併映『BROTHER』)

— 柳原弘


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