スタッフコラム:2005年

「気になる日本映画達2004」ラインナップ決定!

2005/02/16 — 第110号

そろそろ梅の花が見ごろの季節。春は確実に近づいていますね。●当館の春の名物は、前年の日本映画界を振り返る恒例企画「気になる日本映画達2004」です。今年は2/26(土)より2週間の開催、28作品を上映します。●イチ押しは『世界の中心で、愛をさけぶ』『スウィングガール』の2本立て。“純愛ブーム”に乗って大ヒットの『世界の〜』ですが、見逃している方は是非見てほしい作品です。主人公サクと永遠の恋人アキの悲しい恋の物語。森山未來と長澤まさみの名演に涙が止まりません。『スウィング〜』では肩の力を抜いてクスクス笑いを楽しんで。●サブカル系の貴方には『アイデン&ティティ』『花とアリス』の2本立てを。『アイデン〜』は怪優、田口トモロヲが監督業に初挑戦。ロックバンドの若者たちの姿を描く、おかしくも切ない王道青春映画に仕上がっています。独自の映像美学を貫く岩井俊二監督の新作『花と〜』は、2人の美少女、鈴木杏と蒼井優がカワイイのなんって。伸びやかでしなやかな動きがたまりません。●『リアリズムの宿』『茶の味』も見逃せません。『リアリズム〜』は独特の間と、微妙にズレた演出にしびれます。『茶の味』は、石井克人監督ならではの、斬新かつユーモラスな映像世界がさらなるパワーアップ。『下妻物語』と『茶の味』の土屋アンナを見比べるのも楽しいですよ。●プロレス映画の傑作2本立て『ワイルド・フラワーズ』『MASK DE 41』。新しい女性映画作家の誕生を告げる『犬猫』。伝説的なフォークシンガー高田渡の姿を追う笑劇ドキュメンタリー『タカダワタル的』。世界の巨匠、侯孝賢の新作『珈琲時光』が日本映画特集で見られるというのも、なんとなく嬉しい。●日本映画の、様々な豊かな表情を楽しむことのできる特集です。乞うご期待。

— 矢田庸一郎


動き出した日本映画

2005/02/01 — 第109号

1月4日の朝日新聞社説に“さあ日本映画の逆襲だ”の見出しの記事が掲載されていた。『最近、国が国外への映画の売込みを後押しするようになり、地方でもロケを誘致、手助けするフィルムコミッションが広がり、また、韓国映画に刺激されて「血と骨」「パッチギ!」の在日映画が話題を呼ぶなど、ハリウッド、韓国に押されている日本映画が、アジア映画として逆襲を始めている』という趣旨である。◆それを裏付ける記事が、同時期の同紙の文化欄に載っていた。02年の小泉首相の施政方針演説の[知的財産立国]宣言に基づき、政府は科学分野の特許などとともに、映画などのソフトを知的財産の柱に位置づけ、《知的財産戦略本部》を作った。経団連は、映画などのソフトの競争力を上げるために、この3月にNPO法人《映像産業振興機構》を発足させる。◆民間企業も、角川出版事業振興基金信託が主催する《日本エンジェル大賞》では、新進プロデューサーの企画を、映画の形になるまで支援したり、キネマ旬報映画総合研究所と経済産業省は、プロデューサー養成講座を開いたり、既存の大学も、現役で活躍中の映画監督、プロデューサー、漫画家、映画関係者を教授に据えて、映画にかかわる人材の育成に乗り出した。◆日本映画は、年間300本弱が公開されているが、一握りの作品以外は採算が合わない現状を、健全ビジネスに転換させようとして、官・民・学が夫々に一斉に動き始めた。国境が低くなる新しい時代に、日本映画が世界各国の映画館で上映されるのも夢ではない。まず、私たちが、日本映画から沢山の感動を得られる年になることを期待したい。

— 永田稔


「モダニスト増村保造」

2005/01/16 — 第108号

傑作『巨人と玩具』は(当館で2月6日上映)、旧来の叙情的な日本映画に対しクールでスピーディー且つ、膨大な情報量を詰め込んだ演出で、キネ旬ベストテンにも選出された作品でしたが、興行的にはそれほど振るわず、「オレは十年早過ぎた」というのが増村の口癖だったそうです。実際、後年には常に彼の代表作の一本に数えられますし、戦後のモダニズムという言葉は、このダイナミックな映画にこそ似つかわしいように思います。

しかし、一般に彼の代表作に選ばれる他の作品は、むしろ若尾文子の主演作品に見られるような「情念たっぷり」型の題材の物が多いようです。前述の映画のイメージとは世界が異なるようですが、一貫しているのは「個」の存在とその主張です。難解なストーリーなど無い彼の映画は、見ている最中は強固な演出力も相まってその世界に入って行くことができます。しかし鑑賞後改めて思い返すと、登場人物の愚直ともいえる不自然なまでの一途さ、己の信念に基づく温度の高すぎる生き様、こういった印象ばかりが残り、それが異様にすら感じられることがあります。「イタリア留学でヨーロッパ的人間観を形成した」というのが、それらに対する回答の一つとしてありますが、果たしてそれだけでしょうか?

ひたすら己の発するベクトルに突き進む増村、このことをして彼を「モダニスト」と言わしめているのですが、その異様さには、それをはみ出す違う何かを感じずにはいられません。

— 梅原浩二


あけましておめでとうございます

2005/01/01 — 第107号

旧年中は、ご愛顧いただき心より御礼申し上げます

本年も、映画を通して皆様が心豊かに過ごせるような番組を提供していきたいと考えております。どうぞ宜しくお願い申し上げます。

2005年1月1日

新文芸坐

支配人 永田稔
関口芳雄 矢田庸一郎 梅原浩二 花俟良王 後藤佑輔 柳原弘
佐野久仁子 高橋悦子 西本布美子 小形雅子 浅香ノリ

— スタッフ一同


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