スタッフコラム:2006年

3/4より日本映画監督協会創立70周年記念特集

2006/02/16 — 第134号

牛原虚彦監督の手記によると、日本映画監督協会の創立のため京都側の委員、伊丹万作、衣笠貞之助、伊藤大輔と、東京の村田實、牛原虚彦が神田駿河台に集まったのは、昭和11年2月25日の夜とあります。設立が決まったのは夜半過ぎ。外はひどい雪だったといいます。監督協会史には2月26日創立とあるので、会合は零時を回ったということでしょうか。●出席した名だたる監督たちも、この日が日本人にとって忘れ難い日になることは予測しなかったことでしょう。未明、青年将校に率いられた陸軍歩兵部隊が国の中枢、数ヶ所を襲い蔵相高橋是清らを殺害した、世に言う二・二六事件の当日だったのです。●その監督協会も今年で70周年を迎え、当館では記念特集を開催します。題して「映画監督が愛した監督 日本映画監督協会70年の70本+1」。オールナイト上映を含む70本の映画を監督たちがセレクトし、番組の構成も監督たちが考えました。さらに上映作品の監督などが毎日来館しトークを行なうという、今までになく豪華でかつ斬新な趣向の特集です。「+1」は監督協会製作で伊藤俊也監督の新作『映画監督って何だ!』。ドキュメンタリー、劇中劇、インタビューなどで構成され、映画監督という存在を分かりやすく描き出しています。●初日は監督協会初代会長、村田實監督の『路上の霊魂』(新劇運動の小山内薫が総指揮、脚本に牛原虚彦)を上映します。この作品は複数の物語が並行して進行する実験的内容のサイレント映画で、澤登翠門下生でNHK BS「海外ドラマシリーズ プレマップ」の番組紹介の弁士役などで活躍中の、斎藤裕子の活弁付きでお送りします。上映予定は中面をご覧ください。乞うご期待!

— 矢田庸一郎


『ALWAYS 三丁目の夕日』と昭和30年代

2006/02/01 — 第133号

最近ある雑誌で昭和40年代の東京の風景を見ました。よくオリンピック(39年)以降変わったと言われる東京ですが、そこにはまだ30年代と地続きの風景がそこかしこに見られるように感じられました。46年生れの私には30年代の風景は写真や映画でしか知らないのですが、30年代にそれなりの郷愁を覚えるのは、幼少の頃に見た家並みがまだ当時の風景を留めていたせいかもしれません。●当館で2/25から上映する『ALWAYS 三丁目の夕日』は昭和33年を舞台にした映画です。東京タワー建設、集団就職、テレビ放送開始、駄菓子屋、ダイハツミゼット等、活気ある当時を象徴する道具立てが満載の明るく人情味のある映画です。これを作ったスタッフたちも当時を実際に知らない若い年齢の人たちです。セットでは作りきれない当時の風景をCGで創り出していますが、CGと演出を上手く絡める技術は若い世代ならではものでしょう。それにも増して見所なのは日本最大の東宝スタジオ第9ステージに組まれた「三丁目」のセットです。邦画としては近年希に見るスケールの大きさと密度で、ちょっとした小道具などに、細部まで凝りに凝ったスタッフの意気込みが感じられます。●ただ作り込んだ分だけリアルなのかというと、必ずしもそうではないようです。「テーマパークのようだ」と言われることもあるようですが、個人的には映画で当時を完全に再現することは諸々の理由で不可能だと思います。この映画は活気と希望に満ちた当時の人々に尊敬と羨望のまなざしを持った若いスタッフが「映画を作ること、見せること」その心意気で作られた今の映画なのだと思います。

— 梅原浩二


二匹目のどじょうは、たまにいる

2006/01/16 — 第132号

2005年を振り返ってみると、極私的ベストワン映画は『ビフォア・サンセット』と相成りました。1995年に公開された『恋人までの距離〈ディスタンス〉』(原題:ビフォア・サンライズ)の続編です。前作は、イーサン・ホークとジュリー・デルピー演じる男女が列車の中で出会い、意気投合し、朝までウィーンの街を歩き、語り、再会を約束して別れるまでの物語。粋な会話を通して、恋が芽生える瞬間の高揚感を伝えてくれました。続編では、あの時再会できなかった二人が9年後のパリで偶然出会い、またしても歩き、堰を切ったように語り合います。しかも今回は飛行機の搭乗までの85分がリアルタイムで経過し、既に生活を抱える二人のゴールなき微妙な心の揺れに、一体どうして決着を付けてくれよう、と恋愛映画なのに手に汗握ってのめり込んだ次第です。新たな挑戦をしつつも前作のファンの期待を裏切ることなく、登場人物と同じだけ年を重ねた観客にも納得のいくセンスの良いラストを用意した本作に、続編の理想を見た気がします。◆続編というトピックで昨年を振り返れば、傑作密室スリラーの続編『ソウ2』も外せません。低予算を逆手に取った前作のトリックが痛快だった故に募る不安。しかし、新たに抜擢された監督が別に温めていたという脚本を改訂して撮り上げた本作は、前作の物語と巧妙に絡み、『CUBE』やアガサ・クリスティー(ここでは作品名は伏せておきましょう)までもの要素を盛り込んだ残虐かつ知的な充実作となっていたのです。ラストに何かあると思ってはいたのですが……ああ、またやられた! この作品もまた、(“この手”の映画では稀な)続編の成功作ではないでしょうか。『ソウ2』は1/28(土)から。

— 花俟良王


あけましておめでとうございます

2006/01/01 — 第131号

旧年中は、ご愛顧いただき心より御礼申し上げます。

本年も、〈感動はスクリーンから〉をモットーに、皆様が映画を通して感動、興奮するような、心豊かになる番組を提供していきたいと考えております。

どうぞ宜しくお願い申し上げます。

2006年1月1日

新文芸坐

支配人 永田稔
関口芳雄 矢田庸一郎 梅原浩二 花俟良王 後藤佑輔 柳原弘
佐野久仁子 高橋悦子 西本布美子 高橋夏枝 加藤有里 浅香ノリ

— スタッフ一同


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