スタッフコラム:2011年

デコちゃん(高峰秀子さん)追悼特集はじまります

2011/03/01 — 第226号

3月3日(木)より昨年末にお亡くなりになった女優高峰秀子さんの追悼特集が始まります。木下惠介監督『二十四の瞳』『カルメン故郷に帰る』、山本嘉二郎監督の『綴方教室』『馬』など高峰秀子さんの代表作28本を一挙上映。■私にとって高峰秀子さんと言えば、やはり成瀬巳喜男監督の作品群でしょうか。かなわぬ思いに翻弄されるヒロインを演じた『浮雲』『乱れる』もその切なさに胸が詰まりますが、何と言っても気の強いヒロインを演じた『稲妻』と『あらくれ』は特にお気に入りです。■『稲妻』は4人兄弟の父親が全部違うというその中で、末娘なのに一番しっかり者のヒロインが、ダメダメな家族から離れて自立しようとする物語。下宿のおばさんが出してくれたお蕎麦がとても長〜くてそれに困るデコちゃんに思わず吹き出してしまいます。■そして『あらくれ』のヒロインは本当にあらくれていて(笑)、自分の亭主の愛人と取っ組み合いのけんかをするシーン、そしてそれに続く番傘をさして雨の中を歩いていくシーンなど(セットも素晴らしい!)、その生き様に爽快さを覚えます。■この他にも小林桂樹さんとけなげに生きるろうあの夫婦を演じた松山善三監督『名もなく貧しく美しく』、田中絹代さんと姉妹役を演じた小津安二郎監督『宗方姉妹』などデコちゃんの魅力満載な作品がばかりです。「追悼 高峰秀子」をどうぞお楽しみに!(自分の今回の楽しみは未見の『秀子の車掌さん』です)

— 関口芳雄


寂しいけれど、時代は変わる

2011/02/16 — 第225号

映画館の閉館が続いている。今年に入ってからも、恵比寿ガーデンシネマに続き、シネセゾン渋谷も姿を消そうとしている。多くの映画ファンと同じように私もこの2館で"単館系"や"アート系"として括られた作品を何度も観た。高校時代、学生服のまま友達と観に行っていた記憶がやけに鮮明で切なくなる。映画の後のお茶代と帰りの電車賃しか持っていないのに、渋谷や恵比寿に繰り出しているという事実が少しだけ僕らを大人の気分にさせてくれた。女の子とウディ・アレンを観た後、恵比寿駅で別れ話になった(というか別れた)こともある。みんな風の便りもなくなってしまった。元気なら嬉しい。◆この2館の閉館には様々な理由があるのだろうが、"そこでしか観ることができない"という価値が崩壊したことは大きいはずだ。映画が当たれば複数のスクリーンを持つシネコンでも上映されるようになる。配給会社、シネコンにとっては大変理にかなっている。現に私はここ数年、評判の"単館系"作品を近場のシネコンで何本も観ており、ガーデン、シネセゾンへは何年も足を運ぶことはなかった。利便性をとった自分を責めるつもりはないが、やはり別れは寂しい。◆時代は変わる。フィルムではないデジタル素材が増え、3-D作品が年間興行収入ベストテンに名を連ね、ⅰPadでどこでも映画が観ることができ、TOHOシネマズが入場料値下げを発表し、名画座路線へシフトする劇場が増えている。今、私たちには何ができるのか。何を壊し何を守るべきなのか。◆10年前のオープン時に標榜した「新世紀の名画座」を念頭に試行錯誤は続きます。お付き合いいただければ幸いです。

— 花俟良王


名女優・高峰秀子逝く

2011/02/01 — 第224号

昨年の紅白も40%を超える高視聴率だったそうだが、その一方で女優・高峰秀子の訃報が流れた。享年86歳。亡くなったのは12月28日だが、マスコミで第一報が流れたのは大晦日の夜の事であった。◆その訃報を知らせるニュースでは「『二十四の瞳』の先生役などで知られる名女優が亡くなった」と報道されていた。高峰秀子といえば『二十四の瞳』の大石先生という方も多いのではないだろうか。◆1月4日の天声人語でもこの大石先生役についてのエピソードが紹介されていた。それは、「封切り後、本職の教師から多くの手紙が届いた。悩みを吐露し教えを乞う文面に、途方に暮れるばかりだった」というもので、役とのギャップに悩む事もあったそうだが、このコラムでは「間で人知れず格闘する誠実さは、隠し味のような魅力でもあったろう」と結ばれていた。◆その誠実さという魅力は、半生を綴った自伝『わたしの渡世日記』を読むとよく分かる。独特の観察力で書かれた文章は、気取らずあっけらかんとしていて誠実さが滲み出ているのだ。未読の方はぜひこの機会に読んでみて欲しい。◆なお、当館では3月に高峰秀子の追悼特集を上映予定である。訃報が流れたのがお正月の時期だったこともあり、追悼番組などは放送されず寂しい思いをした人も多いと思うので、この上映で盛大に送りたいものである。

— 後藤佑輔


リュミエールの立体映画

2011/01/16 — 第223号

昨年フィルムセンターの「講演と上映 3D映画の歴史」に行きました。メリエスからヒッチコック、ソフトポルノまで実に多種多様な3D映画が上映されました。全てデジタル上映でしたが、3Dの方式は百花繚乱、フィルム一コマを縦に分割して両目二つ分の映像を収めるなど、オリジナルのフィルムで上映しようとすると、ひとつの方式につきそれぞれ専用の映写機を用意しなければならず、デジタル上映のメリットがおおいに発揮された上映会でした。●1935年にはリュミエールも3D映画を開発し、撮影された題材の中にはお馴染みの「列車の到着」もありました。まさか3D版「列車の到着」が見られるとは思わず、狂喜乱舞という感じでしたが、2D版との一番の違いはホームを歩いている御婦人方が、「やたらとカメラの方を見る」ということでした(ご婦人方はエキストラではなくたまたま居合わせたと思われます)。すでにこの当時には映画の撮影というものが一般の人にも認知され「カメラの存在がすごく気になる」ということなのでしょう。みんなジロジロとカメラの方を向き、しかも2D版より尺が長いため見ていて段々可笑しくなってしまいました。●肝心のリュミエール作品の「3D感」ですが、題材・作風としては2Dとの違いはあまりなく、カメラに向かって何かが飛んでくるという事はありませんでした。彼ら以外の作品の中には立体感を強調しすぎているものもありましたが、リュミエール作品の立体感は繊細かつ絶妙で空気感すら感じられました。これが機材の違いによるものなのか、被写体の選定や位置等の撮影技術によるのなのかは判りませんが、立体感についての繊細な比較が可能だということが分かっただけでも今回収穫がありました。

— 梅原浩二


あけましておめでとうございます

2011/01/01 — 第222号

旧年中は、ご愛顧いただき心より御礼申し上げます。

本年も、〈感動はスクリーンから〉をモットーに、皆様が映画を通して感動、興奮するような、心豊かになる番組を提供していきたいと考えております。

どうぞ宜しくお願い申し上げます。

2011年1月1日

新文芸坐
矢田庸一郎 関口芳雄 永田稔
梅原浩二 花俟良王 後藤佑輔 菊地壮馬 稲泉広平 柳原弘
佐野久仁子 高橋悦子 釘宮あかね 大内奈々子

— スタッフ一同


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