スタッフコラム:2012年

コダックが経営破綻しました。

2012/02/16 — 第249号

イーストマン・コダックが1月19日に米連邦破産法11条の適応を連邦地裁に申請しました。これは日本の民事再生法のようなものなので、コダックがこの世からすぐさま消滅してしまうわけではないのですが、映画(界のみならず映画そのもの)にとってこれほど大きなトピックスはないように思います。がしかし世間的にはこの話題の扱い、どうも事の大きさには比例していないような気がします。「フィルム文化の終焉」などというものはデジカメの完全普及によりすでに遠い過去のものとなっているからでしょうか。あるいはいくら映画を観てもフィルムを透過した光と影を見ているだけでフィルムそのものを実際に目にすることがないからなのでしょうか。●エジソンにせよリュミエールにせよジョージ・イーストマンの開発したロール・フィルム無しには映画史のスタートはありえませんでした。その後100年以上に渡る映画遺産のほとんどもフィルムで撮影・上映されていたのは周知の通りで、20世紀のほぼ全ての映画はまさしく「フィルム」そのものでした。●すでに現在多くの映画の製作・上映がデジタル化されています。新作がフルデジタルになるのは良いとしても(フィルムで撮影・上映するという選択肢がなくなるのは問題だが)、20世紀の映画が全てデジタルでしか上映することが出来なくなるのは大問題です。このような事態を以前から危惧していましたが、いまや加速度的に現実になろうとしています。(アグファもなき今、多角化に成功し生き残ったフジフィルムには本当に頑張っていただきたいです。そういえばここ数年外国映画のエンドロールにフジのマークを見る機会が増えているような気もします)

— 梅原浩二


傑作「アジョシ」

2012/02/01 — 第248号

「新作の上映が前より少なくなった」というお客様の不満の声を耳にいたします。●当館は、日本映画の旧作二本立て上映と洋邦の新作上映を交互に行っていますが、例えば新作に関していえば1週間二本立て上映の早稲田松竹よりは上映本数は少なく、2週間二本立て上映のギンレイホールとは、ほぼ同じぐらいです。しかし上映日数は、というと、当館の方が圧倒的に少ないのが現状です。●原因は、当館が2000年に再オープンした際に、以前の洋画専門の文芸坐と邦画専門の文芸地下の2館のスタイルを、一館で両方とも継承してしまったことによります。それでも以前は、多い時は全体の日数の約40%弱だった新作上映が、一時期、20%強ぐらいまで減ったことがあります。今は、コンスタントに35%ぐらいは新作上映を行いたいと考えています。●昔の映画は本当に、その内容、技術とも素晴らしいものがあります。映画の伝統が徐々に忘れ去られようとしている昨今、日本映画史上に輝く名作たちを上映することの意義は少なくありません。一方で、今という時代や世界の息吹を湛えた新作たちを見る感動も、映画ファンにはたまらないものです。●そういった点では、2月18日からの2011年のベスト1・2と言っても過言ではない「ゴーストライター」「アジョシ」がおススメです。ポランスキー5年ぶりの新作でキネ旬1位の「ゴーストライター」、本当にいぶし銀のごとく上手くて憎い映画。でも私は「アジョシ」の方がもっと好き。戦慄と緊張のストーリー展開に目が釘付け。ウォンビンの華麗なるアクション・シーンの数々に心を奪われました。今こそ、私は世界の映画界に向けて叫びたい。「真のアクション映画の復権を!」 ちょっと興奮してしまいました。「アジョシ」お見逃しなく。

— 矢田庸一郎


シー・ユー・アゲイン 雰囲気

2012/01/16 — 第247号

“雰囲気”と書いて、“ふんいき”と読みます。これを“ふいんき”と読む若者が増えています。私の娘の担任の先生(公立の小学校)も、“ふいんき”と読んだそうです。最近のケータイやPCの日本語変換プログラムでは、“ふいんき”でも変換できるものもあります。こういう迎合はまったくいただけませんね。■時代の“雰囲気”を切り取ってスクリーンに映し出すのが誰よりも得意といわれた映画監督がいました。昨年12月に亡くなった森田芳光監督です。商業映画デビュー作「の・ようなもの」を観たときは衝撃的でした。こんな映画を撮ってもいいんだ! と。そしてエンドロールの最後まで味わって席を立ったときの何ともいえない感じは、他の監督では味わえない独特なものでした。エンドロールで流れる曲は「シー・ユー・アゲイン雰囲気」といって、作曲は浜田金吾、作詞はタリモ。タリモとはつまり才人・森田芳光監督自身であります。そして尾藤イサオの歌声がまた泣けるのですよ。■当館ではトークショーをよく開催しますが、お呼びしていなかったのに来てくれたのが森田監督でした。旧文芸坐時代にオールナイトで森田特集を上映したところ、池袋で飲んでいたという森田監督が突然事務所に現われたのです。ぴあを読んで知ったとのこと。自分の特集上映はうれしいということで、ほろ酔いの監督は舞台挨拶までしてくれました。一緒に飲んでいたという桃井かおりさんと林真理子さんまで一緒に舞台に上がり、このサービスに客席は大盛り上がり。上機嫌な監督の姿を見て、映画館で働く身として自分も嬉しくなってきたのを憶えています……。森田監督、いつか新文芸坐のスクリーンで、シー・ユー・アゲイン。

— 関口芳雄


謹んで新年のご挨拶を申し上げます

2012/01/01 — 第246号

旧年中は、新文芸坐をご愛顧いただきまして、心よりお礼を申し上げます。

本年も“感動はスクリーンから”をモットーにして、映画ファンの皆様に歓んでいただけるような映画館を目指して頑張っていきたいと思います。

本年も新文芸坐をかわらずご愛顧いただきますよう、お願い申し上げます。

2012年1月1日

新文芸坐
矢田庸一郎 関口芳雄 永田稔
梅原浩二 花俟良王 後藤佑輔 菊地壮馬 稲泉広平 柳原弘
佐野久仁子 釘宮あかね 大内奈々子 小澤麻梨子

— スタッフ一同


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