春の夢

石焼き芋屋のじいさん、なぜか豪邸で倒れる! 思わぬ訪問者のせいで揺れに揺れ動いていく上流階級のドタバタと恋の騒動を描いた総天然色コメディ!

© 1960 松竹株式会社

公開年
1960
上映時間
103分
監督
木下惠介
脚本
木下惠介
撮影
楠田浩之
音楽
木下忠司
出演
岡田茉莉子、久我美子、小澤栄太郎、荒木道子、東山千栄子、笠智衆

製薬会社社長の豪邸に芋を売りに来た石焼き芋屋のじいさんが脳溢血で倒れ、その場に眠り続けてしまう。やがて彼のアパートの住人たちが邸宅を訪れてきて……。 ブルジョア家庭の中に一般庶民を投入することから巻き起こる騒動の数々を面白おかしく描いたシチュエーション・コメディ。ここではピンクをあちこちに散りばめた人工的色彩美を際立たせながら、タイトル通り"春の夢"の情緒を笑いと共に誘い続けていく。全体的にこれまでの木下コメディ群のエッセンスを凝縮させたかのようでもあり、邸宅の中でドラマの大半が進んでいく。出演者全員がコミカルな演技を披露しているのも楽しく、ラストのオチも大いにニンマリさせられながら、その最後の最後には見る者に人生そのものの夢のほろ苦さまで痛感させてくれる快作である。