惜春鳥

白虎隊の悲劇の地で繰り広げられる麗しき男たちの美しい友情の絆 友情とは消えゆく春の雲のような

© 1959 松竹株式会社

公開年
1959
上映時間
102分
監督
木下惠介
脚本
木下惠介
撮影
楠田浩之
音楽
木下忠司
出演
津川雅彦、石濱朗、川津祐介、小坂一也、山本豊三、有馬稲子、佐田啓二

会津若松で育ち、東京の大学に通う岩垣が久々に帰省し、4人の友人と再会した。しかし、現在の立場や環境を異にする彼らには、既にそれぞれの人生の苦悩があり……。 人が純粋なまま歳月を積み重ねていくことの困難と、それでも変わることのない友情の美しさを綴る青春映画。かつて討幕軍に徹底抗戦して全滅した白虎隊の若者たちと彼らをダブらせながら、そのリリシズムを際立たせている。木下監督が発掘した若手男優たちが織り成す美意識の濃厚な発露ゆえに、本作の場合さらに奥深く複合的な人間観察が瑞々しくも秀逸に描出されており、堕ちた元エリートの岩垣(川津祐介)と、彼を慕う彰(山本豊三)との関係性もさながら、彼らの兄貴分でもある牧田(佐田啓二)と白虎隊の舞を踊る芸者みどり(有馬稲子)の虚無的存在感が彼らの人生を包み込んでいくあたりも圧倒的である。