死闘の伝説

北海道の貧しい村を舞台に戦争が銃後にもたらす狂気を娯楽映画的カタルシスを排した究極の暴力描写をもって訴え得た問題作!

© 1963 松竹株式会社

公開年
1963
上映時間
83分
監督
木下惠介
脚本
木下惠介
撮影
楠田浩之
音楽
木下忠司
出演
岩下志麻、加賀まり子、加藤剛、田中絹代、加藤嘉、菅原文太

昭和20年8月、北海道の寒村に疎開してきた黄枝子に、村長の息子・剛一との縁談が持ち上がる。しかし彼女の兄・秀行は、剛一の戦地における残虐行為を知っていた……。 太平洋戦争末期の北海道を舞台に、村の定住者と疎開者の間に起きる争いとその悲劇的顛末を描いたバイオレンス映画。木下惠介監督作品としては異例の暴力描写の多い問題作でもあるが、戦争は戦場のみならず戦後にまで狂気をもたらしてしまうことを訴えるには、その方法論で撮るしかないという木下監督の覚悟のほどは、それらのシーンが決して娯楽的カタルシスをもたらさないことからも容易にうかがえよう。冒頭とラストのみカラーで本筋はモノクロという構図も、闇の時代を描いていることを明快に説いている。アイヌの民族楽器ムックリを用いた木下忠司の音楽もサスペンスを盛り上げるのに大いに貢献している。